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移行化石の発見
 
 

移行化石の発見 [単行本]

ブライアン スウィーテク , Brian Switek , 野中 香方子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ダーウィンが『種の起源』で進化論を提唱したとき、もっとも有力な反証となったのは、化石として出土している古代の動物と現生の動物とをつなぐ、「移行期の種」の化石がみつかっていないことであり、それは「ミッシング・リンク」(失われた鎖)と呼ばれた。だが1980年代以降、とりわけ21世紀に入ってから、クジラ、鳥、ゾウなど様々な動物について、「移行化石」が相次いで発見されている―。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

スウィーテク,ブライアン
サイエンス・ライター。ラトガーズ大学卒。同大在学中、教育実習で小学生に進化論を教えようとしたのを校長に止められたことで、進化生物学を志す。現在はニュージャージー州立博物館の助手として化石の発掘に従事するかたわら、ウェブマガジン『ワイアード・サイエンス』内でブログ「ラエラプス」を、スミソニアン博物館のウェブマガジンでブログ「ダイナソー・トラッキング」を連載、また「タイムズ」紙などに進化論や古生物学についての記事を執筆している

野中 香方子
翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 440ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2011/04)
  • ISBN-10: 416373970X
  • ISBN-13: 978-4163739700
  • 発売日: 2011/04
  • 商品の寸法: 19.8 x 13.6 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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ダーウィン流、自然淘汰による進化の学説によれば、どんな種についても、古い祖先種から新しい種、あるいは現生種にいたるまでのおびただしい数の移行種があったはずだ。「なぜそのような移行種の化石が見つからないのか?」という疑問、そしてそれに基づいた反対論は、それこそ聞き飽きるほど出され続けられてきた。本書(邦訳)のタイトルは、その疑問に対して正面から答え、諸種の移行化石の実例を示して論駁しようとしたものだ、という予断を与える。

もちろん、そのような解釈は全面的に誤っているわけではない。若い古生物学者の著者による叙述は、昨年邦訳が出され、「人類につながる最古の化石発見」と、センセーショナルに騒がれた『ザ・リンク』に対する批判に始まる。そして、魚と両生類をつなぐ移行化石、羽毛を生やした恐竜、哺乳類の祖先、陸で生活していたクジラの祖先、多様なゾウの仲間たちの化石、ウマの祖先や仲間の驚くほど多様な姿、ヒトの仲間をたどっていくとゾクゾクと現れてくる多様な化石群など、専門家でない読者にはほとんど知られていない多くの事実を開示してくれる。これらは、元祖ダーウィンには望むべくもなかった、多様な移行化石を明らかにした記述だ。

しかし、本書には、もう一つ、著者の意図ではおそらく全体を貫く別のテーマがある。進化の歴史を巻き戻して、もう一度同じところから進化を再開したとしたなら、実際の歴史と大同小異の進化史が繰り返されるのか、それともまったく違った様相の別の歴史が繰り広げられるのか、という問題である。ご存知、グールドとコンウェイ・モリスの間で論争されたテーマである。背後には、知的人間を特別扱いできるかどうかという、宗教がらみの問題も隠れている。著者の結論(終章)をあらかじめ教えてしまうのは、野暮というものだろう。

叙述がこなれていないところもかなり多く見られるが、取り上げられている事例は、古生物学者ならではの興味深いものが多いので、その迫力が欠点を補って余りある。読んで決して損のない本だ。
このレビューは参考になりましたか?
24 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By naichi トップ500レビュアー
ダーウィンの進化論によると、人の祖先は類人猿ということになる。しかし、これはあくまでも理論にすぎず、その過程にはブラックボックスに包まれた部分が多かった。古代の動物と現生の動物をつなぐ「移行期の種」となる化石が、見つかっていなかったからである。この「ミッシングリンク(失われた鎖)」とも呼ばれるピース、1980年以降、とりわけ21世紀に入ってから、相次いで発見されているという。本書はその移行化石に着目し、人類の進化について論じた一冊である。

この移行化石の発見が意味するところは、非常に大きい。これまでにおいて、進化のブラックボックスは二つの側面から捉える事ができた。一つは、生物学的な見地としての突然変異、もうひとつは、聖書に記されている神による創造である。この二つの視点による対立は、非常に根が深いものである。そして、これら移行化石の発見は、創世記に記された「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を作ろう」という記述との矛盾を突き付けるものでもあるのだ。しかし、神学の限界を提示することが本書の目的ではない。むしろ神学への理解こそが、数々の進化論を生み出してきた側面もある。良くも悪くも、神学は科学のOSのような役割を果たしてきたのである。

◆近年における移行化石の発見
1981年 海で暮らすようになる前の移行期のクジラの化石を発見
1996年 首から背筋にかけて羽毛の痕跡の残っている恐竜の化石が発見
2001年 直立歩行するサル、最古のヒト族を発見
2002年 複数の指を持つウマの存在を決定づける調査
2004年 魚と四肢動物のへの移行途上にある化石が発見
2007年 顎で音を聞く哺乳類の標本を記載
2007年 水陸両生のゾウの存在を裏付ける調査結果

各々の発見以上に驚くのは、それぞれの発見がいかに話題にならなかったかということである。これは、メディアにおける科学への興味の薄さということもあるが、進化論を考える上においては、単独の発見そのものに意味は薄いということにほかならない。全体像というアーカイヴの中で位置づけて、初めて価値を持つからである。そして、この点において著者の仕事ぶりは見事である。様々な仮説や事実を丁寧に繋ぎ合わせ、壮大なスペクタクルを紡ぎだしている。それでも、進化は一直線上ではなかったとういことが分かり、多数に枝分かれした樹形図上の方向に、偶然変化したということしかわからない。

移行期の実体が解明されるにつれ思うのは、人を人たらしめているものは何かということである。その線引きは、知性や心を持つのか否かというところにある。だからこそ、もう一度歴史を巻き戻しても再び人類が誕生する可能性はないことを、じっくりと感じ入ることができる。そして、そう思えることも一つの進化なのである。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By キキ
本書は、移行化石について、総合的にわかる本です。

ダーウィンの存命中には発見されなかったが、近年は数々の移行化石(Transitional fossil)が見つかり、
”ミッシング・リンク”が明かされ始めています。

「進化論が正しいなら進化の中間段階の化石が見つかるはずだ。見つからないなら進化論は説得力を欠く」

このような意見への明確な回答を、古生物学者の努力によって、われわれは享受できるようになったのです。

第9章の「ネアンデルタールが隣人だった頃」は
人間の祖先には結びつかない直立二足歩行の類人猿がいた可能性を指摘し、
進化についての本質的な考え方へと誘っていきます。

立花隆氏が『週刊文春』で書いていましたが、最も興味を惹いたのは、終章の「進化は偶然か必然か」。
ここで紹介されている大腸菌の実験は、圧巻というべきです。
この実験結果から改めて「ヒト」の存在について考えてみれば、読者はおそらく次のようなことを思うことでしょう。

人間のような生物はこれまで地球上に存在しなかったし、われわれが消えれば、ふたたび現れることはないだろう。
人間の歴史が偶然の積み重ねであったことを思えば、わたしたちはじつに驚くべき存在なのだ。
もし自分たちについて知りたいと願うのであれば、その歴史を理解しなければならない。
わたしたちは年月と偶然から生まれた生き物なのだ。

さて、貴方もはたして同じような思いを共有するのだろうか?
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