ダーウィン流、自然淘汰による進化の学説によれば、どんな種についても、古い祖先種から新しい種、あるいは現生種にいたるまでのおびただしい数の移行種があったはずだ。「なぜそのような移行種の化石が見つからないのか?」という疑問、そしてそれに基づいた反対論は、それこそ聞き飽きるほど出され続けられてきた。本書(邦訳)のタイトルは、その疑問に対して正面から答え、諸種の移行化石の実例を示して論駁しようとしたものだ、という予断を与える。
もちろん、そのような解釈は全面的に誤っているわけではない。若い古生物学者の著者による叙述は、昨年邦訳が出され、「人類につながる最古の化石発見」と、センセーショナルに騒がれた『ザ・リンク』に対する批判に始まる。そして、魚と両生類をつなぐ移行化石、羽毛を生やした恐竜、哺乳類の祖先、陸で生活していたクジラの祖先、多様なゾウの仲間たちの化石、ウマの祖先や仲間の驚くほど多様な姿、ヒトの仲間をたどっていくとゾクゾクと現れてくる多様な化石群など、専門家でない読者にはほとんど知られていない多くの事実を開示してくれる。これらは、元祖ダーウィンには望むべくもなかった、多様な移行化石を明らかにした記述だ。
しかし、本書には、もう一つ、著者の意図ではおそらく全体を貫く別のテーマがある。進化の歴史を巻き戻して、もう一度同じところから進化を再開したとしたなら、実際の歴史と大同小異の進化史が繰り返されるのか、それともまったく違った様相の別の歴史が繰り広げられるのか、という問題である。ご存知、グールドとコンウェイ・モリスの間で論争されたテーマである。背後には、知的人間を特別扱いできるかどうかという、宗教がらみの問題も隠れている。著者の結論(終章)をあらかじめ教えてしまうのは、野暮というものだろう。
叙述がこなれていないところもかなり多く見られるが、取り上げられている事例は、古生物学者ならではの興味深いものが多いので、その迫力が欠点を補って余りある。読んで決して損のない本だ。