著者は、アメリカの移植医として自らの体験を分かりやすく書いただけというが、日本の現在の移植制度がアメリカ型の制度を導入していることを考えると、近未来の日本の移植医療の現場、将来の移植医像を予言しているとも読み解ける。日本の医療、福祉、保健は、行き詰まった健康保険制度や医療制度、介護保険などネガティブ・イメージが続いているが、それは一体だれが作り出したものなのだろうか。この日本には、この本に出てくるように、医師や看護師、ソーシャルワーカーら病院スタッフと、患者や家族たちの間に、本当に血の通った交流があるのだろうかと疑問を持たざるを得ない。医師が患者に街で出会っても、敢えて知らないふりで通り過ぎることが当たり前の日本の医療界。本当に医療者全員がネガティブ・イメージの払拭をしたいと思い、総力を挙げていけるのか。コミュニケーション能力や、土壇場での決断力・責任感が著しく欠如した医療関係者に、また日本の医療界を何とかして変えたいと歯ぎしりしている人に読んでもらいたい一冊。