「創元SF文庫」でもなく、このアラビア風の扉絵でもなければ、児童書としてもっと
売れたのでは・・・と僭越ながら思わずにはいられない。
舞台は巨大な船に似た「移動都市」同士が、地上に残った少ない資源を奪い合って戦う
弱肉強食の世界。こう聞くとピンとこないが、読みやすい文体なので、しばらく読めば
大きな都市船がキャタピラで動き回る様子が容易に目に浮かぶ。
主人公はその都市で働くギルド見習いの少年と、顔に傷跡のある謎の少女。
少年は謎の少女の事件に巻き込まれて住みなれた都市を離れ、旅をするうちに色々な人々と
出会い、悩み、冒険のなかで成長していく。
ほかにも、女空賊のアナや海賊都市の住人、悪徳市長や秘密の多い史学ギルド長など、
個性的な登場人物たちも魅力的だ。彼らとの出会いの中で、主人公が泥の中を転げ周り、
飛行機で飛び回り、ナイフで戦い、走り回る姿はまるでアニメの「コナン」か「ラピュタ」
の世界だ。
頭の中で映像化しながら、キャラクターに好きな風貌を想像して楽しく読了した。
気軽に読めて、大人でも楽しめる一冊だと思う。