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秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)
 
 

秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫) [文庫]

アルジャーノン ブラックウッド , Algernon Henry Blackwood , 南條 竹則
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

芥川龍之介、江戸川乱歩が絶賛したイギリスを代表する怪奇小説作家の傑作短篇集。古典的幽霊譚「空家」「約束」、吸血鬼と千里眼がモチーフの「転移」、美しい妖精話「小鬼のコレクション」、詩的幻想の結晶「野火」ほか、名高い主人公ジム・ショートハウス物を全篇収める。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ブラックウッド,アルジャーノン
1869‐1951。イギリスのケント州に生まれる。19歳でエディンバラ大学入学、農業を学ぶ。21歳でカナダに渡り、家庭教師、雑誌の編集助手などを経たのち、酪農業の会社をつくるが、翌年経営破綻。26歳で「ニューヨーク・タイムズ」の記者、28歳で億万長者ジェイムズ・スペアーの個人秘書になる。1899年、30歳でイギリスに戻り、短篇「幽霊島」を発表。31歳で宗教団体「黄金の暁」教団に入団。1908年、連作短篇集『ジョン・サイレンス、異能の医師』で成功、専業作家となる

南條 竹則
東京生まれ。小説『酒仙』で第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 361ページ
  • 出版社: 光文社 (2012/1/12)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4334752322
  • ISBN-13: 978-4334752323
  • 発売日: 2012/1/12
  • 商品の寸法: 15.6 x 10.8 x 2.1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 195,482位 (本のベストセラーを見る)
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 怪奇小説といえば、主に英米の傑作短篇を集めたアンソロジーを通じてこれまで親しんできたのですが、いくつか読んでいくうち、一人の作家の短篇をまとまった形で読みたいと以前から思っていました。ブラックウッドもその一人で、今回本書によってその作品にじっくり触れることができました。
 収録作品の前半は、空家や下宿屋に現れる幽霊や精霊を題材にした似たかんじの話が続きますが、それぞれ設定や演出が異なり、多彩な語り口が駆使されていて、ゴーストストーリーのバリエーションを味わえます。後半の諸作品は、怖いというよりも、人間の領域を超えた「大きな力」を描いた幻想性の高い物語が多かったように思いました。
 全11篇中、わたしが特に印象深かった作品は「野火」と「転移」です。どちらも小品ですが、「野火」は壮大で神秘的なイメージをたたえた宇宙的広がりをもつ詩的掌篇で、自然への畏敬と超自然への想像力が美しく結実した稀有な作品。「転移」は家庭教師の女の独白を通じて徐々に不穏で不気味な怖さが醸し出されていく、ストーリーテリングの卓抜な手腕が光る佳篇。
 他にも、ゴシップ好きの口が悪い一組の男女にかけられた呪いの話や、客人の小物をくすねていく小鬼(ゴブリン)の話など、ブラックウッドの多面的な魅力が詰まった一冊になっています。
 怪奇小説は古めかしい訳文のほうが作品の雰囲気に合っていてしっくりくるように思いますが、南條竹則さんの訳文は適度に古風な趣を残していて、読んでいきやすかったです。
 巨匠と称えられるこの作家の作風と力量がうかがい知れる、充実した作品集でした。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 夢追人009 トップ500レビュアー
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20世紀初頭に活躍したイギリスを代表する怪奇幻想小説作家ブラックウッドの秀作短編11編を収める日本オリジナル作品集です。本書に収められた作品にはミステリーの要素などは露ほどもなく全てが混じり気無しの純粋な怪奇小説ですので、怪奇ファンの方は安心して楽しめるでしょう。著者は幼少の頃から幽霊話を愛し生涯を怪奇小説に捧げたというだけあって、似た物はひとつとしてなく一作毎に怖がらせ方のパターンが全く異なるのが誠に素晴らしいと思います。著者が独特の筆致で描く迫り来る恐怖の気配にすっかり魂を奪われ、読後には怪異が終息した安堵感からかぐったりと虚脱しまさに魂の脱け殻と化してしまいます。それから本書収録の「幽霊退治人ジム・ショートハウス青年」シリーズ4編を含めた全11編に人間が幽霊や魔性の者に真実の意味で勝利した物はない事実に気づきました。私には著者の考えの表れだと思えますが、そこには「土台人間が超自然の存在に勝てる訳がなく、最後に命があるだけでもまだましと思わなければ」という諦念を感じます。本書には古色蒼然たる時代色や到底あり得ない非科学性を感じさせる部分もありますが、現代の科学万能の時代に読んでも十分に新鮮で面白く作品の持つ強い生命力を感じますので、幾ら時が経とうともどうか未来永劫に残して行って欲しいと思います。
『空家』百年も昔に起きた猟奇事件の影を今尚引き摺る幽霊屋敷の偵察に行くショートハウス青年と叔母。『壁に耳あり』ショートハウスがアメリカ滞在の折に間借りした安下宿屋の一室で体験する奇怪な出来事。滑稽な下宿の女将のお陰でユーモラスな味が出ています。『スミス−下宿屋の出来事』博士が若い頃に知り合った下宿屋の住人スミス氏の忌まわしい思い出を語る。彼が自室に呼び出した人間にあらざる存在とは?『約束』夜遅く突然下宿屋に訪ねて来た何故か物言わぬ旧友の姿を見て、不意に昔友と交わした約束の記憶が蘇る。『秘書綺譚』秘書になったショートハウスが仕事で訪れた先の田舎屋敷の主人が生肉を喰らいながら恐るべき変貌を遂げる。『窃盗の意図をもって』生前に妖しい黒魔術を使った謎の庭師が首吊り自殺を遂げたという納屋に友人と共に挑むショートハウスの活躍。『炎の舌』陰口を叩く癖のある若い男女が標的に選んだ男から密かに呪いをかけられた報いの‘炎の舌’の戦慄すべき実態。『小鬼のコレクション』大きなお屋敷の晩餐会に招かれた男が体験する小物を盗む小鬼の話で本書中最も罪がなく穏やかな一編です。『野火』猛暑冷めやらぬ九月にヒースの野で火事が頻発し、やがて火と熱を愛する感じやすい画家が迎える非業の運命。『スミスの滅亡』アメリカ西部の街スミスヴィルを作った男スミスが徐々に街に迫り来る異常事態を予見しながら自らも壮絶な滅びの時を迎える。『転移』ある一家の家庭教師の女性が体感した大地が人間から精気を吸い取るという凄まじくも禍々しい悲劇的な物語。
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 直いい親父 トップ500レビュアー
Amazonが確認した購入
 総て初訳ではありませんが、全編南條さんの新訳のA・ブラックウッドの短編集です。全11篇収録されていて、後書きで南條さんが述べているように、空家に収められたもう1人のゴースト・ハンター、ジム・ショートハウス作品4篇が収録されています。A・ブラックウッドは、古典的な怪談にとどまらず、彼の宗教観を反映し、自然と人間の対立を描いた物(一種のアミニズムですか)とか神秘小説まで領域が広いのが特徴だと思います。また、作品の数も多く、いかにもプロらしい作家で、この点が、M・R・ジェームス、H・P・ラブクラフト、A・マッケン等と大きく相違しているのかなと思います。
 空家、壁に耳あり、窃盗の意図をもって、は所謂幽霊屋敷物ですが、つぼを押さえていますから、恐怖感は盛り上がります。秘書奇譚、これは遠い昔に読んだ記憶があります。一種の狼男物ですが、設定等は、ドラキュラの冒頭部分に良く似ています。炎の舌、一種の魔術物です。子鬼のコレクション、ゴブリンの可愛らしいいたずらです。野火、スミスの滅亡、人間と自然の係りを描いた作品で、ブラックウッドの本領発揮作です。転移、吸血(精)鬼と自然の争いを描いた作品です。個人の好みでは、秘書奇譚と転移がベストです。
 巻末にブラックウッドの訳書リストが載っています。私が、一番最初に読んだのは、創元社の世界代ロマン全集の怪奇小説集でした。そして、同じ版元の世界恐怖小説全集の幽霊島、早川書房の柳と読破しました。当然ブックス・メタモルファスのブラックウッド傑作集も購入しました。1970年後半から1980年前半には、月刊ペン社から3冊の長編も出ました・・今から考えると黄金期ですね!!
 最後に、ヒューマン・コード、代表的短編集の完全翻訳を希望します!!
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