以前、映画『おくりびと』が、アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した頃、それを記念して(便乗して…?)と銘打ち、滝田洋二郎監督繋がりで、週末の昼間に地上波で放映されていたのを偶然に鑑賞したものです。
出だしは予算の関係もあってか結構チープな作りにも感じて、それもあって、途中で観るのを止めようかとも思いましたが、そうこうする内にドンドンと内容に引き込まれて、結局、最後まで観入ってしまいました。
自分が知らなかった作品にも、こんなに素敵なものが有るんだなあ…とも思いましたし、その折、原作が東野圭吾さんだという事も知り、世の中には凄い小説を書く人が居るんだなあ…と感嘆もさせられました。
確かに不思議な作品です。強いてジャンル分けするとするなら、ファンタジー作品とでもなるのでしょうか?デビッド・フィンチャー監督の名作『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』にも相通じる感覚が有ります。
ごく普通の日常生活の中に何か一つ、全く有り得ないフィクションを放り込むと、そのほころびから物語はどんどんと転がっていき、やがて思ってもみなかった結末へと繋がって行く。近親相姦的な雰囲気を漂わせながらも、男女の恋愛感情だとか、越えられない世代間のギャップだとか、色々なことを考えさせられました。
物語はフィクションであるにも拘らず、生きることの本質にも似た何かに触れた気にさせられる。この作品にも間違いなく見終わった後に、その感覚が残りました。ラストシーンの展開等も、とても切なくて遣り切れない様な、少しく寂しい様な不思議な感じです。
小林薫さんと広末涼子さんというキャスティングも絶妙です。特に広末さんは『鉄道員(ぽっぽや)』や『おくりびと』でも、とても透明感のある演技を見せています。この人は、アイドル時代よりも、女優さんとしての方が数倍素敵です。
つい先日迄、同じ原作でテレビドラマ化もされていて、こちらも何度か観ました。又、何年かしたら、リメークされる作品かも知れませんね。それ位、原作にはチカラが有ると思います。
ただ、ハリウッドの大作映画と比べると、日本映画のDVD作品は、どうしても割高感が付き纏うのは否めません。メーカーさんの更なる企業努力についても望みます。