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国際テロリストとして捕らえられた母が、英雄として尊敬されるアラブ諸国で著者は大人になった。立場によっては正義が全く異なることを身をもって学んだわけだ。房子の娘であるという「秘密」を抱えたまま28年間国籍すら持てなかったが、母の逮捕後日本国籍を取得して日本で生活している。
本書では思想を超えた母娘の関係や、ジャーナリストを目指す立場から米同時多発テロ後の報道についての批判を述べている。数奇な運命を背負った彼女にしか書けない1冊である。
(日経ビジネス 2002/06/17 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
テロリズムの昇華,
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レビュー対象商品: 秘密―パレスチナから桜の国へ 母と私の28年 (単行本)
連合赤軍関連の本を読み進むうちに辿り着いた一冊。坂口弘から「リンゴの木の下であなたを生もうと決めた」「中東のゲットーから」と18冊目で、世の中をよくしたいという衝動の原点をこの本で見た気がします。同じ月の下で、今も同時進行するパレスチナ、アラブ民族とイスラエルの争い。空爆や銃撃戦は勿論、イスラエルからの暗殺におびえながら生きてきた著者。日本をこよなく愛し、日本人のアイデンティティを持ち続けてきた中東の家族達(日本赤軍)。死と隣り合わせに無国籍で過ごしてきた著者に教わる物は多い。ドキュメンタリーとして最高の一冊です。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
ある日本人女性の数奇な体験,
By うみのさかな (イスカンダル星) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 秘密―パレスチナから桜の国へ 母と私の28年 (単行本)
無国籍であること・・・今まで考えてもみたことがありませんでした。海外旅行の際に必須の赤いパスポート。 その重みを、私は考えたことがあるでしょうか? 自分が無国籍で、戦火のアラブで砲撃に怯えながら暮らしている。 そんな状況にいることを想像してみました。 頼る政府はどこにもない。チャーター機を飛ばして迎えてくれる 祖国はどこにもない・・・。難民の中には 幼いときに親を失い、出自も不明な孤児も多いでしょう。その上、国籍までない。 自分のアイディンティティはイスラム教徒であること、そして 祖国奪還のために戦うこと。そのためにテロリストとして 命を投げ出すことなんてた易いことなのかもしれない・・・。 下町風情が漂う日本の町並みを背景に立つ、エキゾチックな顔立ちの魅力的な メイさんの写真を見ただけで、思わず手にとってしまいました。 パレスチナとその周辺国に起こっていることに関心なんて これっぽちもなかったのに日本人女性の体験記というだけで、 こんなにも自分に引き寄せて考えられるのですね。 ノンフィクションの読み物として大変面白かったです。 ある年代以上の方には「重信」という苗字だけで「ああ、あの」となるのでしょうが、 私は本書を読んでインターネットで調べるまで 連合赤軍と日本赤軍の区別さえついておらず、「あさま山荘事件」も 両親の会話からしか知らない世代です。先日も永田洋子死刑囚が刑務所内で 病死した、というニュースがありましたが、こういった凶暴な女性達を排出してしまった 社会背景というのは、いったいなんだったのだろう、と考えてしまいます。 戦争や拷問、殺人などを起こすのは圧倒的に男性であるという認識でしたが、 イデオロギーを背景に過度の暴力に訴えることに抵抗がない女性というのも 中にはいるのですね。 重信房子に関しては、メイさんを出産し母親になったせいか、 自分の理想社会実現のため暴力に訴えたことを後悔(彼らの言い方をすれば自己批判)しているようですが、 自分が最高指導者であった組織が起こした、テルアビブ空港で乱射事件での 100人近い死傷者とその遺族に対する贖罪の気持ちは メイさんの記述からは伝わってきません。メイさん自身も、戦時下の生活が長く 感覚が麻痺しているのでしょうか、アラブ社会の庇護のもとにあった自分の母親の逮捕・服役を 何かヒロイックに感じているようです。 メイさんの最近の活躍はサーチしてもあまり目に入りませんでした。 この自伝の日本語は見事ですが、メイさんが受けた日本語教育を考えるとおそらく メイさんの発言をもとに他のライターがまとめたものでしょう。 たぐい稀な経験を経て、晴れて「無国籍者」から正真正銘の日本人となったメイさん。日本人として、 真のジャーナリストになるために修練なさっていることを心から期待しています。
5つ星のうち 5.0
考えさせられること多い,
By Bon Voyage! "Bon" (香川県高松市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 秘密―パレスチナから桜の国へ 母と私の28年 (単行本)
この本を通じ中東問題に関心を抱くことになった。と同時に、テロリストの娘として28年間無国籍状態だったこと、隠し通さなければならない秘密、悩みが有っても他人に打ち明けられず一人で解決しなければならない苦悩。いずれを取ってみても、筆舌に尽くしがたいほどの苦労をなめて来た中でもしっかりと生きてきた筆者の強さというものを感じた。住む場所を点々と移動せざるを得なかったことや、それに伴い人間関係を全てリセットする必要あったこと、子供時代には母親の秘密を分かっていながらも自分で抱えていたこと等、並大抵の苦悩ではなかろう。数奇な運命を辿った筆者だからこそ書ける内容、その一つ一つが強く頭の中に印象付けられた。多くの人に一読をおすすめしたい。
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