あちこちで「いまひとつ」といった評を見かけるこの作品。
反面、「深く心に染み入った」という人もまた多数です。
観る人を左右するポイントは、自分に主人公のような体験があるかどうか。
・遠距離恋愛をしたことがある
・お互い好きなのに、離れてしまったことがある
・忘れられない人、思い出がある
こういった経験がないと、第一話は普遍的で良いとしても、第二話での主人公の冷たい優しさは理解できず、まったく感情的な演出をとっている第三話では話から突き放されてしまいます。
逆に、自身の体験や感覚と重なる人は、一見すると何もないようなストーリーの中に、愚直なくらいの切ない恋心が表現されていることに感動します。
幼心に大切な人を見つけ、それでも、いつまでも一緒にはいられないと予感する【第一話】。
美しすぎる思い出を忘れてしまえない【第二話】。想いが届かない苦しさを知っているゆえ、自分を好いてくれる子に中途半端に優しくしてしまう。それが一番残酷なことだと気付く余裕もなく。
大人になってもうまく現実を生きられない【第三話】。ラスト五分はPVのように「one more time, one more chance」にあわせフラッシュシーンが流れるだけなのですが、一、二話の主人公の胸中が分かっているなら、もはや言葉では言い様のない感傷がここで最高潮へと達するでしょう。
― 憧れに一途であり続けることは、下手な生き方なのだろうか ―
私としては、これ以上なくエモーショナルで、今までの新海作品のテーマがまとまった最高傑作でした。
通常版と限定版とを迷っている方には、限定版をオススメします。理由は「サウンドトラックCD」。
サントラを聞くと、アレンジされた主題歌も美しいことながら、もうひとつのメインテーマの旋律(2、10曲め)がどうしようもなく切なくノスタルジックです。さながら第一話の、雪の一夜のように。