内容紹介
東京大学口腔外科学分野創設百周年記念誌によると、昭和3年から8年の6年間(約80年前)の歯科病室手術例数の統計では、年平均10例の悪性腫瘍切除術が行われてきました。当時に比べると、麻酔手術、手術療法(再建法を含む)、放射線療法、化学療法など、癌治療のどの分野でも格段の進歩を遂げてきています。一方、医療はパターナリズムから真の患者中心の医療へと大きく変貌してきましたし、社会からはevidence-based medicine(EBM)に基づく「診療ガイドライン」が求められています。
1982年に産声をあげた日本口腔腫瘍学会では、その主要なテーマとして口腔癌治療に関して真摯な討論を重ねてきましたが、21世紀初頭になって、日本癌治療学会が臨床腫瘍データベース委員会を立ち上げたことに呼応して、口腔癌取扱い指針作成ワーキンググループ、口腔癌治療ガイドライン作成ワーキンググループを相次いで立ち上げて活動を開始して、「舌癌取扱い指針(案)」「口腔癌治療ガイドライン −下顎歯肉癌(案)−」「下顎歯肉癌取扱い指針(案)」「口腔癌治療ガイドライン −舌癌(案)−」を発表してきました。
しかし、2006年の日本癌治療学会がん診療ガイドライン委員会において、ガイドライン作成作業の一層のスピードアップが求められました。それに応えるべく、日本口腔腫瘍学会口腔癌治療ガイドライン作成ワーキンググループは、われわれの基盤学会である(社)日本口腔外科学会の口腔癌診療ガイドライン策定委員会との合同委員会として作業を行い、本「口腔癌診療ガイドライン」を作成いたしました。委員各位の献身的努力により短期間に完成をみたことに感謝を申し上げるとともに、このガイドラインが口腔癌臨床の場で活用されることを祈念いたします。
(「序」より)