●本書で村上氏は、「科学哲学者はもっと科学の中身を知りなさい」と言っているように思われる。つまり、科学に疎い科学哲学者が振りまわす極端な社会構成主義が科学の実体とかけ離れているため科学者側が強い違和感を抱いていることに注意を促している。
●むしろ本書の白眉は、20世紀後半以降の科学が「好奇心駆動型」から「使命達成型」に重心が動いたこと(P223)によりマートンの考えていた科学者観では収まりきらない状況が生じていることを明確にした点であろう。
●科学研究の活動が社会の中に取り込まれた現代において今後「科学・技術コミュニケーター」の存在がますます重要になるだろうという指摘(P238)で本書が結ばれている点は、まさに慧眼である。