かつてオカルトだったものが客観という基準により科学になり、その科学が19世紀に制度化し、高度化し、タコツボし、巨大化し、金のかかるものになった、という歴史の流れは分かりやすい。現代社会で科学は市場価値とアカウンタビリティを求められているのに、現代の科学者は、論文という名のゴミ排出競争に明け暮れている。そのうちに社会からそっぽを向かれてしまうかも、と言う主張は、大学人としての筆者の皮膚感覚なのだろう、切実な感じがする。
でも、現代のオカルト、カルトに対する叙述は、紋切り型で浅薄だと思う。頭に浮かんだことをあまり整理せず思いつくままに書いた感想、というレベルだ。筆者は、管理社会である現代社会では、人生の意味が感じられないから、「かけがえのない自分」を見つけるために、人はオカルトやカルトにはまる、と言っている。でも、それくらいのことは、誰でも感覚的に言えそうだ。「かけがえのない自分」というのも、科学者らしからぬ、分かったような、分からないような言葉だ。どうして鍵括弧がついているのかも分からない。
新書にいろんな内容を詰め込みすぎだと思う。前半部分=歴史的なオカルトと科学の関係、をもっと掘り下げて、専門外である現代カルトの分析はほどほどにしたら良かったと思う。