性の分化は、実に謎に包まれている。
本書はその謎を科学的に解説した真面目なものであり、けっして興味本位のものではない。
性別には男女の二種類しかない。
しかし、その間のいわゆるグレーゾーンというものがある。
それには、胎児期における心の性分化と体の性分化の時期の違い、が関与している。
これが分かると、いわゆる「オネエキャラ」タレントと性同一性障害の違いというものが理解できる。
また、社会的な性別、いわゆるジェンダーのことや、発達の男女差などまでが本書では述べられている。
しかし、本書で著者が最も強調したいことは、おそらく巻頭の身体と精神の性別のズレ、というあたりだろう。
本叢書はイラストが多く用いられており、本書もまた色鮮やかな、そしてかわいいイラストが多数掲載されている。
そのため、人前で読むのは結構恥ずかしい。
満員電車などでは少々開きづらい。
しかしそれに反して、その内容は性分化について真摯に、そして分かりやすく解説されている。
自分の性を理解するために、また異性を理解するために、本書は必読である。
また、さまざまな理由でグレーゾーンにいる人たちを理解するためにも、本書はよい助けとなる。
性に対する違和感がアブノーマルなものと切り捨てられないために、という著者の姿勢が非常によく分かる一冊である。