"Capitalレーベルと契約を交わした50年代のシナトラには、最早どの歌手も到達できない孤高のオーラがあった。どの曲も彼の人生と結びつけ、彼側に引き寄せるだけの力を持っていた。本番はそんな時代の彼のバラード集の代表作。「Glad To Be Unhappy」等での彼の穏やかな一面が伺える。タッグを組んだネルソン・リドル率いるオーケストラとの相性も見事。"
"上で紹介した2枚のバラード集とは異なり、ミドルテンポでの明るくスイングするシナトラの魅力が最高の形で現れた一枚。ネルソン・リドルのゴージャスだが押し引きを心得たオーケストラに乗せて、恋愛経験も豊富だったであろう彼が、男女のラブソングを実に渋くセクシーに歌い上げる。お気に入りは、冒頭の「You Make Me Feel So Young」と「 I've Got You Under My Skin」。"
"ジャズファンに好評を博した「Dear Mr. Cole」の続編。相変わらずの洒脱さと抜群のギター・テクニックでキング・コールの十八番を見事に彼の色に染めて歌い上げる。個人的に興味深かったのは最後に収められた「 I Like Jersey Best」。何かのライブ録音のようだが、彼は様々なシンガーの物真似を披露し、観客を終始笑わせリラックスさせてくれる。エンターティナーとしても一流の人なんだと実感。"
"トニー・ベネットはシナトラと並ぶ超大御所だが、今でも現役で作品を発表し続けている。そんな彼が熟年に入った40代に、あのビル・エバンスを歌伴につけて録音したアルバムが2枚ある。本盤はその第1弾。彼の男性的でパワフルな声と、エバンスの繊細な伴奏との対比が面白い。お薦めは「Young and Foolish」。熟年になった彼だからこそ歌える名唱。"
"ジャズ・ボーカリストには初期にはビリーホリデイやベッシースミスのようにブルースの色が濃厚な人が多かったが、現在は少なくなってしまった気がする。ジョー・ウイリアムズは10年前亡くなってしまったが、比較的最近の世代では珍しくジャズ・ブルースを得意とする人だった。彼の太く逞しいボイスはブルース調のナンバーによく映えたが、代表作の本盤では「Who She Do」のようなアップテンポの曲が個人的に好きだ。"
"美人女優兼歌手のジュリー・ロンドンの旦那であり、優秀なソングライターでもある彼がジョニー・マーサーという作曲家の作品を集めて録音したもの。彼の持つ声は声量はなくけっして正統派ではないが、それを補って有り余る洒脱な歌唱センスを持っている。まるで呟くように歌われるキュートでウィットに溢れた楽曲群は彼と抜群の相性。「Cuckoo in the Clock」等彼にしか出せない味わいがある。"