~ 女・永六輔、とはよく言ったものです。朴慶南(パク・キョンナム)さん。どこへでも行き、誰とでも出会い、誰とでも話をする。──うらやましい。ぼくもこんなふうに軽やかに心を解き放つことが出来たらと、『私以上でもなく、私以下でもない私』(岩波書店)の頁を繰りながら、何度思ったことか。
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でもキョンナムさんの本は、もちろん、うらやましいほど強靱な生き方を説く本などではありません。正反対。「私以上でもなく、私以下でもない私」を、それはもう愛おしく抱きしめる本なのです。
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たとえば、「人は変われるんだね」と養護学校の先生(かっこちゃん)に手紙を書き送るヤクザさん。山手線の中でのひょんな出会い(学生の胸ぐらをつかんで殴っていたヤクザさんの方に、「つらさ」を見てとったかっこちゃん。思わず彼を抱きしめてしまい、ヤクザさんは号泣した)から文通が続き、ヤクザさんは「目つきも変わった」し「本を読むようになった~~」。「かっこちゃんは、いまも人を変えてますか」。
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ばかげたことには事欠かないし、時には自己嫌悪にも陥るけれど、『私以上でもなく、私以下でもない私』を読むと、まだまだ日本も捨てたもんじゃない、信ずるにたる人間、愛すべき人間はたくさんいる、と確信します。そうしてなにより、ぼくはぼく自身を信じ、愛さなければならない。ぼくは──いやぼくだけでなく誰だって、それに値する、「人間」なのだか~~ら。~