死ぬのは、誰でも怖いと思っていた。
片付けるのは、誰でも苦手だと思っていた。
どちらも、楽しむことができたら、
そんなに苦にはならないのだと、著者は明るいトーンで語ってくれた。
大前研一さんのお姉さん、セレブなマダム、
そんな肩書きやイメージと関係なく、人として充実しているんだな、そう実感できる本だ。
でも、なぜ、そうなのか。大前伶子だから、充実しているだけで、
一般の私たちには無理なことをつらつら書いてあるんじゃないのか、
友人に薦められて手にした本を、私は斜めに構えて読み始めた。
そんな私の曲がった性格は、読み進めるうちに綺麗に整理整頓された。
波乱万丈な人生をさらりと生き抜き、
長いこと生きていれば背負い込むであろう悩みや苦労を楽しみに変えていく。
私らしい、とタイトルにあるが、
大前伶子だから出来た凄さは承知のうえで、
では、読者であるあなたにとっての「私らしさ」とは何なの? と、
大きなまっすぐな眼差しで、大前伶子が問うてくる。
片付けだって簡単だし、
死ぬことだってそんなに嫌わなくても楽しめるわよ、と、
大前伶子が気づかせてくれるのだ。
日本人は、歳を取ることを忌み嫌う傾向が強いと思うが、
著者のように、歳を重ねていくことを楽しむことができたら、
若さという神の恩寵だけを頼りにそれを失うことにおびえて生きていくことから開放されるはずだ。
世に整理整頓の本は多く出ている。
でも、その真髄は単純で明快だ。
もっともらしく書かれたそれらより、
この本は、拍子抜けするほど単純な真理を教えてくれる。
理屈じゃないから、納得する。
片付けが苦手な私がそう思うのだから、これは本物だと思う。
片付ける理屈ではなく、人生の中の整理整頓という位置づけが分かれば、
片付けることは苦手ではなくなるのだ。
だって、物が片付くのではなく、自分自身の中の問題が片付いていくのだから、
嫌なはずがない。苦手になりようがない。
死ぬのは怖い。
たぶん、誰だって。
でも、生きるのと同じくらい真剣に死ぬことに向かい合えば、覚悟が出来る。
覚悟が一度出来たら、余裕が生まれる。
死ぬことを楽しめたなら――
私たちの人生は、また新たにより豊かに生まれ変われることが出来る気がする。
人生も片付けも
しまう勇気と楽しさをくれたこの本に感謝。
この本を薦めてくれた友人にも、ひそかに感謝。