登録情報
|
560頁余の大書ですが、退却路を断たれて籠城を決意するまでの序章のみが軍隊としての行動であり、残りのほとんど全てが原始生活の記録である。その後10年もの長期に渡り、自給生活に入る。当初17人した同胞は敵の襲撃やマラリアなどで次々に倒れていくのが悲しい。
敵軍と交流のある原住民からも姿を隠して社会から完全に隔絶された世界で生きてゆく事の辛さが、ひしひしと伝わってくる。
生きていく為の最も重要な問題は「食べる事」。当初は敵の食料集積地に忍び込んでまかなっていたが、それも間もなく尽きてしまう。そこで彼らは、何もないジャングルを開墾し、農園を開いた。これは、気の遠くなる作業であり、並みの人間では実現不可能であったのでは無いかと思う。火を起こす道具も無い、武器も無い、しまいには衣服にも事欠くありさま。あるのは、「生」に執着する人間の底力だけ。
誰も体験する事の出来ない世界ですね。椎名誠氏が絶賛するのも納得です。圧巻なのは、数年後にとうとう原住民に発見され、接触を受ける場面。読んでいて緊張しました・・・。しかし誠実な態度で交渉し、ついに彼らとの交流が始まる。
相手の言語(コーヤ語)を覚え、お互いが信頼し、強い絆で結ばれるまでに交流を深めているところが凄い。おそらく今でも彼ら4人の存在は、原住民の間で語り継がれている事だろう。オランダ官憲に発見され、収容される事となるが、農園を離れる際に彼らは椰子の木を20本植えている。これは実が熟れるまで30年近くかかるのだそうで、原住民が収穫する時、自分達の存在を思い出して欲しいとの願いが込められている。今頃は立派に実を付けて、彼ら日本兵の恩恵であると、収穫する原住民の語り草になっているのだろうなぁ。この本は読まないと本当に後悔する一冊ですよ!!
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|