300p. を越える大作で,非常に読みごたえのあるノンフィクションである.日本語タイトルより(出版社が売りたい気持ちを意識しすぎたか?)も原文タイトル『Tough Choices』の方がしっくりくる内容である.世界で最も有名な女性経営者,元HP CEO のカーリー・フィオリーナのHP更迭までの記録を綴っている.それまでの AT&T,ルーセントでの話も実に興味深い.
筆者曰く,この書籍を綴った理由は2カ所に記されている.まず,p.194の記載,『あふれる情報のなかでは事実も虚偽も同じ重みを持ち,簡単に取り違えられる.意図的な誤解や風評が,私の仕事を非常に難しくしたことは否定できない.この本を書こうと思ったのは,たぶんこのためでもある.』,加えて,Compaq との合併の際での裁判で,被告席での傍聴時に感じた,p.273の記載,『ほとんどの人が企業経営者が何をしているか知らないということだった.このことは,本を書こうと思い立ったきっかけの一つになっている』.つまり,この本に書かれている内容は一般人にとって非常に斬新的だと云うこと.だから,とても興味深い内容であると云える.おそらく,メディアに書かれている彼女の記述(悪意に満ちた中傷)はこの本に書かれているように,雑誌が売れるように虚偽で固められていたように思う.鉄の女,カーリーも実は普通の女性で,努力に努力を重ねてエグゼクティブの地位を獲得したのだと驚き,読んでいて心に響くモノがあった.これに比較すると,自分の苦労なんて彼女には全く及ばないと,日々の仕事に落ち込む自身が勇気づけられた.久しぶりに感激した1冊である!
最後に,訳もすばらしく,実に読みやすく,引っかかりのない内容になっている.