ピンクの表紙、空色の裏表紙、みかん色の帯に包まれた、ビタミンカラーの詩集。上質でポップで読みやすい。60年にわたって書かれた谷川俊太郎の恋、セックスの詩を俯瞰して見ることができる。詩の並べ方も制作順ではなく、恋の始まりから葛藤、困惑、嫉妬、別れ、人間愛やエロスにつながるもの、…とテーマにそって並べられていて自然に世界に入っていける。実に感動的だ。モーツアルトの音楽のように、機知にとんだ詩が、恋というテーマににつかず離れず、正面から描ききってあり、迫力がある。ベスト版の名にふさわしい。随所に「自問自答の恋愛論」という短文が(潔く)挿入されていて、これも楽しめる。書き下ろしも混じっているそうだが、どれかは示されていない。しかしどれもしっくりとくるので、意図してのことかもしれない。1680円とやや高めだが、特殊な加工が施されており、質感も高い。繰り返し読みたいと思う。ギフトにもいい。
デザインレーベル「oblaat」のiPod用のアプリも本書と同時に「ポエグラムシリーズ」として制作されているそうだ。こちらも発売されたら見てみたい。