一青窈さんの歌は好きですが、ファンといえるほどではありません。
なので、芸能人のプライベートへの好奇心からこの本を手に取ったわけではありませんし、
実際、中で一青窈さんのことが具体的に語られる箇所もほぼ皆無です。
しかし、昨日本を手にしてから、途中でトイレにさえ行かずに、
あっという間に読み終えてしまいました。
読まされてしまった、のです。
プロの書き手ではないので、あまり読みやすい文章ではないが、
作者が幼いころ、自分のアイデンティティについて悩み、家族への深い愛情と、
それゆえの苦悩が、痛いほど伝わってきます。
それも淡々とした語り口であったから、なおさら、突き動かされました。
ゆらゆらゆらり、というのは、台湾のわらべ歌『おばあちゃんの橋』、のワン・フレーズです。
ゆらゆらゆらり、おばあちゃんの橋へ。
ゆらゆらゆらり、一夜寝れば一寸大きくなあれ。
ゆらゆらゆらり〜、
と続く歌詞です。
心なしか、歴史の奔流に動かされ続けてきた台湾と、
そうした中で生きた作者のお父様と、
同じく巻き込まれていった作者ご家族の姿がリンクするものがありました。
作者がいうように、台湾ほど様々な政権に翻弄された、多民族と多文化の国も珍しいものです。
そこに多様な価値観にさらされるようになった、
今日のわたしたちの生き方と連想させるものがいくつもありました。