著者は質素に生きる合理主義者だ。上着は詰襟の上着で通し、夏冬二様の準備でシャツもネクタイもいらないという。靴下や重ね着のシャツは継ぎはぎだらけでほとんど原形をとどめないほど愛用するし、衣服、食物、娯楽品は買ったつもりになって実際は買わずに貯金する。奥さんが花屋の鉢に手を伸ばして持ち上げると「オイオイ、買うは買っても、気分で買うのだぞ、それを持ち帰って枯らしてしまうより、この店に預けておけば水を忘れずやってくれるし、枯葉もいちいちのぞいてくれる。みたければいつでもここまで散歩に来ればいいじゃないか」といって買わせない。娘の嫁入り道具は持たせず、買い整えたいものに当たる金額の入った貯金通帳をもたせ、結婚披露宴もおこなわず実家の天ぷら会への招待ですまし、香典の香典返しは一切せず、すべて故人名で慈善団体などに寄付してしまう。なかなか真似のできることではない。
著者がこの本を出したときと同じ歳である今年84歳の「塩爺」で有名な元財務大臣の塩川正十郎さんは長生きの秘訣をきかれ「よく食べて、よく寝て、くよくよしない」と答えた。この本の主旨に合っていると思った。
著者は金儲けを肯定しており、その為にはまず種になる資金を作らねばならず、収入の4分の1の天引き貯金をすすめる。そしていくらか貯まったところで巧みに投資に回しなさいと。それには常に自分の頭で、自分の力と立場とを考えて、時勢の動きというものを捉えていかなければならず、単なる人聞き、人真似では駄目だという。
参考になる部分を取捨選択して読んでいくことをすすめたい。