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私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実 (文春文庫)
 
 

私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実 (文春文庫) [文庫]

有田 芳生
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」などのヒット曲で愛された歌手テレサ・テンが旅行先のタイで急死してから十余年。スパイ説、中国政府の罠、天安門事件との繋がり…残された謎の数々。本当の死因は何だったのか?中国と台湾の現代史の狭間で翻弄されながら歌に生きた「アジアの歌姫」の真実。

内容(「MARC」データベースより)

スパイ説、本当の死因、中国政府の罠、天安門事件との繋がり…。没後10年、いま明かされる「アジアの歌姫」の真実とは。すべての謎の答えがある。歌「私の家は山の向こう」とインタビューを収録したCD付き。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 309ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2007/03)
  • ISBN-10: 4167438038
  • ISBN-13: 978-4167438036
  • 発売日: 2007/03
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
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45 人中、44人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mic1017
形式:単行本
現在テレビのニュースで盛んに報道されている中国の反日デモ。コメンテイターのなかにはこれは天安門事件の反動だという人もいる。もしそうであるならばこの反日デモを見るにつけ私が思ったのは、もしテレサ・テンが生きていたらこの光景をみてどう感じるのだろうかということだった。そんな中テレサ10回目の命日を前にして有田芳生氏の待望の新刊「私の家は山の向こう-テレサ・テン十年目の真実」が発売された。本書を読んだ後に反日デモを見て感じたのは中国政府の本質は天安門事件の後も全く変わっていないということで、むしろ内包する矛盾は広がっているとさえ思えた。
 著者の有田氏と言うとどうしてもオウム真理教、統一教会、はたまた「ザ・ワイド」のコメンテイターとしてのイメージが強いが、これまでにも「歌屋 都はるみ」を著しているように人物ノンフィクションの分野でも好著がある。これはテレサが亡くなった直後に出ると言われてなかなか出なかった本で、10年目にして正にやっと出たという感じである。本書はテレサの遺稿である「星願」に見られる孤独感、絶望感はどこから来たものなのかを手掛かりに、「二つの中国」に翻弄されたテレサ・テンという一人の歌手の実像に迫っていく物だが、「十年目の真実」という副題にあるようなセンセーショナルなものは無く、丹念な取材によって掘り起こされた事実が書かれているだけである。そこには没後10年という時間が文章全体に落ち着きを与えていて、それが読み手にも変な感傷にとらわれることなく読めるという効果につながっている。それだけに却って切なくテレサのCDを聞きながら読むと涙が出てくる。テレサに関するノンフィクションとしては平野久美子氏の「華人歌星伝説-テレサ・テンが見た夢」(晶文社)と並ぶ好著だと思う。

 これまで私たち日本人が親しんできたテレサ・テンは、実は日本やアメリカなどの華人社会ではないところだけで活躍した歌手だった。台湾、中国、香港などの中華文化圏では一貫して麗君であり、1974年に日本でデビューしたとき、かつて翁倩玉がジュディ・オング、陳美齢がアグネス・チャンとなったように麗君はテレサ・テンという発音しやすい英語の芸名を名乗った。この事だけでもテレサは日本を中華文化の外にある国として捉えむしろビジネスの場所として割り切っていたらしいことが解る。したがって台湾、中国、香港における麗君と日本でのテレサ・テンでは感触が微妙に違うのは当然だ。ただ私を含め多くの日本人が麗君ではなくテレサ・テンを愛しているのも事実である。結局私たちに出来るのは本書で明かされているようなテレサの人生を真摯に受け止め冥福を祈ることしかない。そしてテレサの歌を聞くことで少しでも心が癒されるならそれだけで充分だと感じる。テレサの願いも案外そんなところにあったのではないかと思えるのだ。

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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ともぱぱ 殿堂入りレビュアー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
本書を読み、日本での活躍はテレサの全貌のごく一部で、実際は華人社会のトップスター、否それ以上のアイコンであったことがよくわかった。本作の完成に彼女の死後10年を要する程著者の取材は緻密にして丁寧、彼女とその歌に対する愛と敬意に満ちている。スパイ説等のマスコミの報道がいかに無責任かを明らかにしようとする熱意、彼女と電話インタビューをした大陸の記者の浮沈そしてステファンというひもと別れられない、テレサの優しさ・心の空虚さ等への言及が本書を一層魅力あるものにする。

彼女は2つの中国に翻弄されつつも、生まれ育った台湾も大陸(内地)も愛していた。精神汚染として共産党に禁じられた彼女の歌が内地に浸透し、コンサートの招聘を受けるに至った事実は、為政者には抑えきれない程彼女の歌が魅力に溢れていた証左である。そして89年の天安門事件。彼女は香港での民主化支援コンサートで、戦前の望郷の念をこめた抗日歌の歌詞を少し変え、まだ見ぬ内地の人々の暮らしの蹂躙は許さないとの想いを込めて1曲歌った。本書のタイトルはその歌の題名にちなむ。しかし、民主化は粉砕され、彼女は失望し、90年代の低迷、そして早過ぎる死を迎える。まさに現代史の流れを駆け抜けた一生であった。

読後、彼女の中国語の曲、特に「淡淡幽情」を聞いてみたくなった。唐宋詩(詞)への彼女の愛は、同じ漢字文化圏の我々も共感できるから。そして、単行本に付属のCD所収の彼女が聴衆の前では生涯で唯一度あのコンサートで歌ったあの曲と著者とのインタビューでの肉声を。今、北京では公然と彼女のファンクラブが活動している。著者は彼女は勝利したといい、あとがきで北京オリンピックを期に彼女は内地で歌っただろうと想像する。そういう曲の力に希望を託した著者渾身の、稀代の歌姫の生涯を描くノン・フィクションの力作として、本書が多くの人に読まれることを願いたい。
このレビューは参考になりましたか?
22 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 非常に密度の高い本だ。テレサテンの歌はカラオケでも歌っていたが、その歌姫にこんな大きなドラマがあったなんてこの本を読むまで想像もできなかった。
 テレサの中国の民主化を思う切なる心。その心根を自陣に取り込もうとして動く人間(組織)模様。現代政治というもののリアル。よくぞここまで取材し尽くした。
 迷いつつ香港の集会に参加し歌う「私の家は山の向こう」。どっと涙がこみ上げてしまった。この本によってテレサテンという女性の生涯が新しくファンの記憶に刻まれるかもしれない。
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