マサイやケニアについて知りたい人は興味深く読めると思います。しかし、女性の半生記・体験記として読む場合にはクエスチョン・マークです。
筆者は、現在の夫のマサイ男性と結婚する以前にも別のケニア人男性と結婚しており、さらにそれ以前にも外国人男性に惚れっぽい性格だったという経緯が出てきます。確かに、本に挿入されているマサイ青年たちの写真を見ていると、日本人女性がぽーっとなってのぼせてしまうのもうなずけます。筆者は、過去の恋愛や結婚と比べて、マサイ男性との出会いは運命的なものだったと捉えているのでしょうが、それは過去に出会った男性たちよりもより大きなインパクト(文化的な相違がより大きかったゆえ)を与えてくれたから、だけのような気もします。他の方も書かれているように、以前の結婚よりもまだ時間が経っていない時点での執筆は時期尚早。筆者にはぜひ10年後、20年後に報告していただきたいです。
80年代に結婚生活を経験したスイス人女性の書いた「マサイの恋人」に触れて、筆者は文中で、このスイス人女性は現地の文化を理解できなかったから結婚に失敗した、というようなことを書いていますが、スイス人女性は第一夫人であり、夫に第二夫人を迎えないことを条件に結婚したことによる葛藤があったのだと思います。(個人的には、こちらの葛藤の方に人間味を感じ、心を揺さぶられました。)それから20年の月日が流れ、マサイ族の生活も変わってきているはず。現在のマサイ族男性にとって、外界から現金収入を運んでくれる第二夫人(筆者)の存在は都合がよいのでは、という見方もできます。パートナーは欲しいが外で仕事をしたいという筆者にとっても第二夫人というポジションが好都合なのかもしれませんね。両者の利害が一致した結婚ということでしょうか。