ピアニストとして1980年代に頭角をあらわしたブラジル出身のイリアーヌ・エリアス。やがてピアノと共に、ボサ・ノヴァの歌手としても有名に。
本作品「私のボサ・ノヴァ」は、クールで芯のある声(独特の低音)の魅力を、最新録音によりボサ・ノヴァ歌手として特化させた作品といえそう。1998年にヒットしたボサ・ノヴァ集「海風とジョビンの午後」は母国語(ポルトガル語)での歌唱でピアノがメーンだったが、今回は英語の歌詞が多く、しかも全曲ボーカル入り。
曲目もお馴染みばかりで、誰にでも親しめる。ピアノプレイは必要最小限にとどめ、お洒落なストリング入り。(上手なピアノを控えめにしているのが何ともおしゃれ)
昔に比べ余分なものがとれスッキリ自然体での作品。ボーカルの輪郭がはっきりしたのではないかな。
ボサ・ノヴァ歌手としての比較論では、超ベテランのジョイスがどちらかと言えば情熱的なのに対し、イリアーヌのボサ・ノヴァはクールで現代的。
窓を開け放ち、ぼんやりとそよ風に吹かれて聞くと、最高です。
彼女の別の近作CD「アラウンド・ザ・シティ」は、駆け出し時代にフュージョンバンドのステップス・アヘッドに短期間参加した経験を生かした超今風アルバム。そしてCD「サムシング・フォー・ビル・エバンス」は彼女が敬愛したビアノの巨匠をトリビュートした正攻法の作品で立て続けの発表となる。彼女のご主人はビル・エバンスのラスト・ベース・プレーヤーだったマーク・ジョンソンだし、近年までドラムスはジャック・デジョネットが担当するトリオのリーダーだっただけに、彼女のピアノの実力は半端ではない。
オールラウンドのベテランミュージシャンとしての彼女の活躍には目を見張るものがある。
イリアーヌは83年のステップス・アヘッド時代以来映像(DVD)が出ていないが、その歌手としての姿が見れるDVD発売が待たれるところだ。