「アメリカ料理」と言うと、ファーストフードかジャンクフード、でなければテクス・メクス(古い?)を始めとしたミックスカルチャーフード、あるいはNYのヤッピー(古い?)が群がるこじゃれた高級レストラン料理、というイメージですが、この本に載っているのは、普通の中流家庭の堅実にして効率的なレシピの数々です。手間暇をかけて全て手作りする「マンマの味」ではなく、要所要所にインスタントフードを使い、筆者もお書きのように時間を有効に使った料理です。かく言う私はアメリカの半端ではない田舎に滞在中、ホストファミリー宅の毎日の食事に苦しみ2ヶ月で7kgも痩せたのですが、この本を読むと当時を妙に懐かしく思い出します(済んだことだから)。インスタント食品を多用するため、家庭の食事も食堂の食事も延々と同じ人工的な味が続き、逃げ出すことも出来ない苦しみ。この本は、「アメリカ料理をおいしく頂く」ことよりも、私にとっては「普通のアメリカ家庭の食生活を伝える」とともに、「近過去のアメリカ家庭の暮しを伝える」という意味で大変意味がありました。筆者の留学時代の挿話も興味深く、日本が貧しかった時代のミドルティーンの女の子がアメリカの保守的な田舎町で、3年も周囲の愛情に包まれて生活した点に、「普通のアメリカ人」の底力を感じました。