正直、一度目に読み終えたときにはすべてが「???」な小説であった。
あまりにもわけがわからず、もう一度読んでみた。
すると途中から、コツのようなものがわかってきたように感じられ、別の風景が見え始める。
わからなさと面白さが混濁しており、その全てを遠くのほうからカメラのような目線でみている感覚。
読みやすい文章。難しい語彙もない。設定も、とある高校の様子と至極普通。にも関わらず、全体としては超絶技巧のような小説。
なんと書けばいいのか…専門家の意見を探したところ、鴻巣友季子氏の書評を発見したので、以下抜粋する。
「…もっと言えば主人公はいない。担任はごく弱い働きの視点人物だが、語り手ではない。群像劇でもない。フォーカス自体がない。プロットもない。いわんやストーリーをや(中略)小説には無視点の客観描写という概念はある。しかし本作の場合、担任という視点人物はいるのに焦点がないのだ。そんな小説あったろうか。”何ではない”ではなく”何である”と定義できない小説。それでも登場人物たちは読み手の中にきっちり痕跡を残す…プロットだの人物造形だのが小説成立の要件というのはウソだったのか?」
読む人を選ぶ小説かもしれないが、”物語”という概念を覆す試みとしては類を見ない1冊という観点から星5つ。
小説を読んでいて、ここまで不可思議な体験をしたのは初めてかもしれない。