初めに本作品は作者のwebサイトで公開されるのを前提に描かれたものであることを
知っておきたい。
それは雑誌掲載や単行本といった商品化を前提とせずに表現されたことを意味する。
どうした経緯で出版にこぎ着けたかは知る由もないが、幻冬社の発行であるのを
思えば、あるいは縁のあった編集者の目にとまったものだろうか。
作者はプロのマンガ家である以上、商品化は喜ばしいことだろうし読者としても
形として結実した単行本を手にとるのは嬉しいことだが、こうして素敵な一冊に
仕上がったことは、なにより作品にとって幸せなことだろう。
紙から電子へと書籍のかたちが変わる世にあって本作に思うこと、それは
読むという行為は目で追うばかりが全てではなく、印刷された出版物を手でめくり
時に漂うインクの匂いこそ、作品という情報を記録から記憶に昇華させるのだと。
少し寂しいのは現在、マーケットプレイスでプレミア価格がついていることであり、
それが意味するところは需要がありながら品切れ状態で放置されていること。
心ある編集諸氏がいるならば、再版とそして第二部の単行本化を願うばかりである。
本作はまだ終わってはいないのだ、過去のものにするのは忍びないではないか。