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私たちはこうして「原発大国」を選んだ - 増補版「核」論 (中公新書ラクレ)
 
 

私たちはこうして「原発大国」を選んだ - 増補版「核」論 (中公新書ラクレ) [新書]

武田 徹
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

原発が支えた豊かさ、核の傘に守られた平和。このねじれと、どう向き合ったか。政財官、ゴジラ、推進/反対運動、今春の事故まで

内容(「BOOK」データベースより)

豊かさを求めて「原発大国」を選んだ唯一の被爆国・日本。核の傘の下で平和憲法を制定した日本。このねじれを政財官の動き、映画等の文化を題材に検証。2011年論を加え、文庫版に増補。

登録情報

  • 新書: 299ページ
  • 出版社: 中央公論新社; 増補版 (2011/5/10)
  • ISBN-10: 4121503872
  • ISBN-13: 978-4121503879
  • 発売日: 2011/5/10
  • 商品の寸法: 16.8 x 11 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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東日本震災の後、関東に住むものとして原子力発電について考えない日はない。原子力発電の是非について考えることもさることながら、原発の是非について議論が議論として成立していないことに興味を覚えた。これは過去の経緯に原因があるのだろうと思いから日本における原子力の歴史を知るべく読んだ。

そうした動機にはまさにうってつけの本で、1945年8月6日以降、日本がどう原子力と向き合ってきたのかを、大まかに時系列的に、地方、政治、ゴジラやアトムなどの文化を含めてさまざまな視点から描いている。
筆者が「スイシン」、「ハンタイ」どちらにも与さないように細心の注意を払ったとあるように、非常に理性的に事実に基づきそのうえで筆者の意見をきちんと述べる形で論旨が展開されており、勉強になると同時に考えさせられる。

「原子力的日光の中でひなたぼっこしていた」という言葉に啓発されて本を書き始めたという筆者のひらめきと強い意欲によって、高い密度で戦後の60年間が描ききられている。
日本の戦後政治は、核エネルギー(原子力発電所と原子力爆弾の双方)の影響を除いては語れないものだということを改めて感じたし、それによって日本の抱えてきた多くの本質的な問題、たとえば地方と中央、産業構造の転換と弱者、といった現実が表出されてもいる。

詳細を要約するよりも、内容のすべてが等しく価値のある本なので興味があればぜひ通読をすべきタイプのノンフィクションだろう。
それでもあえてひとつ言うとすれば、福島第一原発の悲劇は明らかに人災だが、それはスイシン派によって起こされた過失というよりは、スイシンとハンタイ(これはイデオロギー対決の産物でもあるが)の双方の活動の結果双方にとって望ましくない結論に陥り、有事に対応できない状況が生まれていたということは、日本人が自ら恥ずべきこととして知っておくべきだろう。
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21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By anon10
 原発推進派と原発反対派が二勢力としてにらみ合いの状況にあり、建設的な議論がなされず着地点が見出されない。これが著者の基本的な認識となっているのだが、「スイシン派」と「ハンタイ派」が対等な立場になかったことは、著者自身の記述からも容易に読み取ることができる。

 「制度を作る政府が原子力政策に関して「公」として中立の立場を採ることがなく、あくまでスイシン勢力であるという」事実(233頁)、そしてそれを背景に、推進派が原発立地予定地域の世論を誘導するために投入し得る「力と財力」(同)を有しているという事実を見ても、推進派と反対派が力関係において非対称的であることは明らかである。

 「力と財力」によって反対派を排除し、原発の是非が政治的争点として浮上することを抑え込み、大半の人々が原発に無関心になるように仕向けること、これらは原発推進勢力が組織的に仕掛けてきたことである。推進派の圧倒的な「力と財力」で挽きならされた状況の中で、反対派がいかほどの影響力を持ち得たことか。二つの勢力の二項対立のにらみ合いとは、著者が虚構した架空の状況ではないだろうか。

 「反原発運動の高まりがかえって事故を招くこともある」(219頁)として、原発労働者のモチベーションの低下や、担い手不足や、安全対策の不備などに逆説的に結び付けて反対派を断罪する著者の論法は、具体的な事実に立脚した論証になっていないばかりか、現実の力関係を隠蔽する機能を果たしてしまっている点で、多分にイデオロギッシュであると思う。

 「原子力を拒否するとしても、その選択により社会的弱者にしわ寄せがいかないかどうかはきちんと検討する必要があります」(12頁)とする著者の誠実を疑う気はないが、それがかつて体制に対する批判や反対を封じるために、普段は考えもしない「弱者」を都合よく持ち出して労働運動を叩いた山本七平ら保守派の論理と二重写しになって見えることも否定できない。

 本書は数年をかけて書き継がれた労作であり、電源三法交付金を論じた「1974年論」、清水幾太郎の転向を論じた「1980年論」などは興味深く、特に後者は本書の白眉といってよいと思うが、私には著者の立ち位置がよくわからない(吉本隆明『反核異論』を巡る論争に全く言及されていないのはなぜなのか)。著者を「原発御用学者」だとする批判もネット上に散見されるが、そうとも思えない。「ひょうたんなまずのようにつかまえどころのない」(29頁)本である。
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18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By これでいいのだ トップ500レビュアー
 広島、長崎、そして第5福竜丸を経験した戦後の日本人は、どのように「原子力の平和利用」に向き合ってきたのか。それらにつき、鉄腕アトム、ゴジラ、人形峠、大阪万博、電源3法、JCO臨界事故といった時系列に沿わせつつ、テーマごとにエピソード群を集約して検証を試みた長編ノンフィクション。類書はあるようで少なく、話題は次々に変転するものの、テーマに一貫性が窺えるため、いずれも飽きることなく最後まで興味深く読めた。材料の収集は手堅く、検証の手際もフェアで、冷静だ。

 とはいえ、タッチがところどころ「若書き」風で、さらに清水幾太郎や高木仁三郎の項は「○○は△△すべきだった」式の後知恵的な記載がみられ、著者自身、「出来が良いとは決して言えない」(294頁)と振り返る通り、過去から現在までを貫く問題群が十全的にカバーできている、とは言い難いようにも映る。本書に依拠すれば、福島原発はじめ現在の「原子力の平和利用」のなれの果てを透視する視角が得られる、とも言いにくいように思えた(歴史ルポとしての制約か?)。また、東日本大震災を受け、2011年5月に「増補版」を中公新書ラクレから出されたこと自体はタイミング的に悪くはないとは思うものの、「2011年論――新書版まえがきにかえて」が「著者談」になっているのは、物書きとしてはいかがか、とも考えた。
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投稿日: 7か月前 投稿者: ladymarmalade
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投稿日: 10か月前 投稿者: 西山達弘
歴史検証の本
時代が原子力をエネルギー源として育ててきたという検証を説得力のある文書で述べている力作だと思います。
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