ゴア氏は米国の超一流指導者のひとり。豊富な人脈から質の高い情報を集め、精緻に分析し政策を立案する理性的なスタイルであることがよく分かる本です。
ClimateGateで舞台裏が見え、「人為起源のCO2増加により温暖化し大変になる」説は価値が下がりました(本当は自然変動がメインのようです)。ゴア氏は、さすがに分かっていて「CO2よりも千倍も強力なハロカーボン類やメタンなど他の強力な温室効果物質もある。ブラックカーボンも重要だ。これらも何とかしなければならない」と追加メニューを出しています(これらは開発途上国の排出も大きい)。見通しが得られるまで幅広く検討を続け、軽率に義務を負わない米国の指導者は賢い(中国の指導者も賢い。指導者はまず国益を守るものです)。
将来、「温暖化の主な原因は水蒸気の変動であった」と決着する可能性さえありえます。また、自然変動の周期を外挿すると2070年頃には地球は寒冷化に入っていることもありえます。石油の枯渇も深刻になっているだろうから、その場合は、温暖化よりも深刻になりそうです。
分厚い本書のメインメッセージは、世界が直面している問題の本質は温暖化物質云々というよりも「今のスタイルを続けると遠からず世界は破綻する。(1カロリーの食料を得るのに10カロリー使い、土壌も劣化させている現代農業など)無駄を減らそう。公害を減らそう。自然を大事に生かして使う生き方をしよう」のようです。ゴア氏の解決策は、日本が得意としてきたことであり、日本流の「もったいない」「バチがあたる」という省エネ・誠実文化が実は最先端の生き方のようです。
「ゴアさん、全く賛成だ。一緒にやろう」と呼応できる。COPxxなど「環境の重要さを考えさせてくれたけれど、役割は終わった」と署名せず、「もったいない・省エネ国際会議を始めようではないか」と提起すれば、その方が、世界から敬意を払われながら、省エネ技術による収入で日本は立ち直るし、世界も救われる。日本にとっては、どうも意味がなさそうなCO2削減云々で大散財しないで未来技術に集中投入し、100km/L走るエコカーなど、次々にエネルギー効率抜群の優良技術を開発し普及させることで未来を拓く政策の方がはるかに楽しく活気が出て有益です(結果としてCO2削減にも貢献します)。日本人の本来の姿こそ世界の希望ではないか。理性的な本書によって、そのような明るい気分になりました。