紫式部の心情にここまで寄り添って書いていることに尊敬しました。
いかにも零落した貴族のお嬢様らしい矜持やもろもろの不満など、
「たぶんこんな人だったんだろうな、理解できるけどやな女だな」と
大抵の女は共感しながら嫌悪してしまうだろう紫式部の性格を
まるごと飲みこんで自伝風にしたのはすごい。
愛情がなくてはできない作業だと思いました。
そして、本当によく研究されて書かれているんだなと感心しました。
「身」と「世」の考え方が、この本で理解できたような気がします。
清少納言が皇后定子を敬慕の対象として慕っていたのに対し、
紫式部はそれほど……と思っていたのですが、この本で紫式部も
彰子に対し、別の形で尊敬していたのだろうなと感じられて
彰子贔屓としてはなんだか嬉しくなってしまいました。
あまり古典になじみのない人にも読みやすく、かつ
古典好きの人にも納得の一冊ではないでしょうか。