歴史上、地震が登場する話は多い。
秀吉の建立した大仏が、建立直後の大地震で崩れたことは有名だ。
山内一豊の娘が長浜の大地震で死んだことは、NHK大河ドラマでも描かれていた。
大名自身はもとより、家臣から、城下町まで一瞬で埋め尽くされた帰雲城の話もかなり知られている。
しかし、歴史に登場する地震の話が、地震学の立場から歴史ファン向けに語られる本は、極めて少ないのではないか。
本書はそういう意味で貴重な本だ。
著者の専門は地震学だ。
しかし、地震考古学者として歴史上有名な地震をそのメカニズムから説明してくれる。
歴史家の描く地震の話は、あくまで歴史上のエピソードとして単独で描かれる場合が多い。
しかし、本書では、秀吉の経験した地震も、山内一豊の家族の命を奪った地震も、帰雲城の地震も全て活断層の話から説き起こし、連続する事象として解明されて行く。
また、古代史ファンにとっては、学術的な発掘ができたことで有名な天皇陵である今城塚古墳の話も興味が尽きない。
本来の継体天皇陵と思われる今城塚古墳が地震で大きく崩落し、近くにある宮内庁指定の継体天皇陵はなぜ地震の影響がなかったのかを活断層の話から説明してくれる。
全体的に、地震の話は専門的過ぎる部分がある反面、歴史の話は簡単に流している箇所が多いので歴史好きには物足りなさが残る。
しかし、歴史と地震をわかり易く、大系的に結びつけて語ってくれる貴重な1冊だ。