『世界自動車戦争論 1』で日産のGT-Rを《こんなに思い切りのいい機械を日本人が作ったのは太平洋戦争にボロ負けして以来初めてじゃないかな。こいつは零戦ですよ》とベタ褒めしていた福野さんですが、この本でもフェラーリやランボルギーニなどを押さえて冒頭からいきなり「GT-R工場見学」。しかも、エンジン、トランスアクスル、最終組立てと3工場をまわる徹底ぶりで「GT-Rはかくしてつくられる」みたいな雰囲気。ただし、『クルマはかくしてつくられる』とは違い、「GT-R工場見学」は3点の写真のみしかグラフィックがないので、例えば、GT-RのエンジンであるVR38の構造に関するこういう文章も、なかなか読み解き辛い。
でも、まあ、ガマンして読んでいけば、軽量化のためにアルミ合金でつくったシリンダボアに低炭素鋼をプラズマ溶射して内部に鉄の被膜を形成するとか、V型レイアウトは強いGがかかるとヘッドからのオイルリターンが悪くなるが、VR38ではオイル通路の形状を工夫したクロスオーバーリターンによって逆流を防いでいるとか「とにかく、なかなかすごいことわやってるわな」という感じが読み取れていきます。
こうした零戦みたいな日本製スーパーカーに対して、ブランド力だけで売ってきた感のあるヨーロッパ勢はどう対応するのか?さすがに考えています。それは軽量化。ハイテク勝負ではかなわないからボディサイズを小さくして軽い1tのスポーツカーで勝負する。それならコンセプトからして4座でつくらざるを得ないポルシェやGT-Rに勝てる、というんですな(p.195)。ここは面白かった。