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このうち、<後期>の福沢像は、実は、元「時事新報」主筆の石川幹明の捏造であり、
福沢自身は最後まで<前期>のままであり続けた、転向なんかしてなかった、
ということを論証したスリリングな本。
石川は、自著「福沢諭吉伝」と「福沢全集」編集を通じて、
巧妙に捏造をおこなった。おおざっぱにいうと、
1伝記で自分好みの福沢像を描き出し(というか創造し)
2全集の「時事新報」論説に自作を大量に挿入することで、それを補強した
(初出時、論説は無記名だったので、こういうことが可能だった)
「巧妙に」と書いたが、綻びも多々あり、今まで誰も気づかなかったのが不思議なほどだ。
実際、同時代の福沢の関係者や、戦後の(福沢協会の終生理事長)富田正文、
丸山真男なんかは知ってたはずだと、著者は書いている。
しかし、彼らは自分の立場を優先し、指摘を怠った。
自論を展開する前に、まず客観的事実を明らかにするのが、知的誠実さじゃないのか?
石川はもちろん、彼らの罪も大きい。
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