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福永武彦戦後日記
 
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福永武彦戦後日記 [単行本]

福永 武彦
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

妻と幼子との帯広での疎開生活から、作家として立つ道を探してひとり東京へ―。だが容易にはかなわず、結核は再発し、先の見えない不安から、詩人でもある妻は、精神的に追い詰められてゆく。終戦まもない1945年9月1日から47年7月31日まで、断続的に、きわめて克明に綴られた、作家・福永武彦誕生の記録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

福永 武彦
1918年、福岡県生まれ。一高在学中から詩作を始める。東大仏文科卒。54年、長篇小説『草の花』により、作家としての地歩を確立。以後、学習院大学で教鞭をとる傍ら『冥府』『廃市』『忘却の河』『海市』など、叙情性豊かな詩的世界のなかに鋭い文学的主題を見据えた作品を発表。61年『ゴーギャンの世界』で毎日出版文化賞、72年『死の島』で日本文学大賞を受賞。79年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 298ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/10)
  • ISBN-10: 410318714X
  • ISBN-13: 978-4103187141
  • 発売日: 2011/10
  • 商品の寸法: 19.4 x 12.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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「廃市」「海市」「死の島」の作者、というよりも池澤夏樹の父である福永武彦の若き日の日記である。

1945年、46年、47年のほぼ3年間におよぶ日記を読んでみると、敗戦直後の生活苦、病苦、芸術苦、世界苦、とりわけ恋愛苦によってこの文学青年が強烈なダメージを蒙り、それがのちの彼の芸術に決定的な影響を、というより傷を残したということがよく分かる。

福永武彦の運命を決定づけたのは若き日に小説も書いていた「マチネ・ポエティック」の同人であった詩人・原條あき子で、この青年の生涯最大の危機をあるときは永遠の毒婦の如く加速させ、またあるときは永遠の童女のごとく回避させた運命的なヒロインが息子夏樹をこの世に誕生させたのだが、この夫婦の対峙関係はどこか島尾敏雄とその妻ミホのそれを思わせる。

1947年の日記は二人の実存がぎりぎりのところで軋み合う有様を、息苦しい緊迫感と臨場感とともに伝え、ある意味では下手な小説以上の迫力であるが、著者が自画自賛する内容を持つ「1949年日記」が発見されたと言うが、その上梓の日が一日千秋の思いで待たれるのである。
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父子邂逅 2011/11/27
福永武彦の極めて私的な日記が、このような貌で公に出版されたことは、福永武彦ファンにとって喜ばしいこと限りない。そこに至る経緯には、武彦の長男である池澤夏樹氏が序に記している通り、一言では説明できない偶然・必然も含めた事象の複雑な連鎖が背景にあるようだ。池澤夏樹氏もデビュー当初は、積極的には福永武彦との父子関係について多くを語ろうとしなかった、と記憶している。

この日記が書かれた時期は、一般的な意味においても「戦後直後」という特異な時期であるが、福永武彦にとっても、最初の詩集や小説を正に世に問う直前の時期である。背景描写から、一般的な歴史記録としての価値もあろうが、福永武彦研究という観点からは、今迄の空白を埋める意味で相当な価値を持つものと思われる。しかしながら、この日記は、そのような資料的な価値を考える前に、(序において池澤夏樹氏もsuggestしている如く)一つの文学作品のように、まず読まれるべきものなのかも知れない。

福永武彦と池澤夏樹という父子を識る現代に生きる者にとっては、困難な状況下における福永武彦の長男誕生に寄せる想いを深く感じるとともに、これを初めて読んだ時の池澤夏樹氏の心中を(勝手に)想像して、心の奥底が熱くなるのを禁じ得なかった。

 この日頃夏樹漸く我に馴る。幼児の微笑にのみ神を感ず。
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