原発を巡る数々の文献を分かり易くチョイスしてある。
さらに、科学や科学技術、技術についても著者お得意分野の
近代科学史から戦前・戦後と筋を通して、おごった人間の文
明批判をしている。確かに内容は、各種原発問題を扱った本
とさほど違いはない、しかし、この類の本にオリジナリティ
を求めること自体がどうなのか。よくコンパクトにまとめ上
げている。高木仁三郎を継承する人物になるかもしれない。
最後の山本義隆の言葉が胸にしみる、引用する。
「日本人は、ヒロシマとナガサキで被爆しただけではない。
今後日本は、フクシマの事故でもってアメリカとフランスに
ついで太平洋を放射性物質で汚染した三番目の国として、世
界から語られることになるであろう。この国はまた、大気圏
で原爆実験をやったアメリカやかつてのソ連とならんで、大
気中に放射性物質を大量に放出した国の仲間入りもしてしま
ったのである。こうなった以上は、世界中がフクシマの教訓
を共有するべく、事故の経過と責任を包み隠さず明らかにし、
そのうえで、率先して脱原発社会、脱原爆社会を宣言し、そ
のモデルを世界に示すべきであろう。」