著者は原発から西に45kmにある寺の僧侶にして、作家。政府の復興構想会議のメンバーにも選ばれた。
興味深かったのは、復興構想会議の内容がくわしく記されていたこと。 五百旗議長が「原発問題は扱わない」と会議の冒頭に述べ、多くの委員から反対の声があがったそうだ。最後に梅原猛特別顧問が、机を叩きながら、
「文明論の問題として、原発問題は避けて通ることはできません!」
と一喝。結局、討議されることにはなったが、政府の腰の引けた態度が見透かされた一コマだった。
玄侑さんが特区構想のなかで提案した事の中で興味深いのは、福島県を「医療・福祉・研究・リゾート特区」にというものだ。
今回の原発事故による内部被曝研究や除染という世界初の研究テーマにも取り組み、「日本の最先端医療は福島にあり」という福島復興のシンボルにしようという提言はすばらしい。温泉リゾートと対にして滞在型の研究施設も可能である。
また、広島・長崎が「平和教育」を推進したように、福島が今後「放射線教育」を世界に先駆けて推進すべきでもある。
東京目線、霞ヶ関目線ではない、被災地からの豊かな発想や提言にあふれる本だ。