このごろふと心に静けさを感じる瞬間がある。
子供の頃毎日ひとりで虫取りに出かけていた。
収められた本中の写真に触れとんぼをちかくでじっと見つめていたあの感覚が蘇った。
そのころまっすぐな軸のようなものを感じていた。
今思うとあれは自分の中に安心感を感じていたのかもしれない。
そこには静けさがあった。
感情の水である私がいつしか動じない人になろうとして自分を
しばってきた。
今ふたたびあふれてきた心は
前とはちがうやわらかさが加わった気がする。
こっちの視線のせいかもしれない。
こんななかなか人とは語り合えないような
一番大切なゆらゆらゆらめくものがこの本を通じて
湧き上がったり悲しくなったり苦しかったりうれしかったりして
なんだか満たされた。
素直な心こそ欠けることのない円満さそのものだと思う。
そして著者はいつもどんな人の中にも自分自身の中にも
その円満さを見つめようとする強さがある。
素直でなくて一番苦しかった自分が洗い流された気がする。
石井ゆかりさんに心から感謝します。