切り口は良いのですが、編者である小谷野氏の文書作法が問題である。他人の意見を批判するのにも作法や礼儀があると思うのだが、どうも不作法に過ぎる。目下が酒席で自分にタメ口をきいたことを無礼であると憤っているにもかかわらず、自分に対立する他者に対しては目上であろうが関係なく文章上で罵倒しているのである。更に、自分を論述のプロフェッショナルと自負しているにもかかわらず、いわば素人である新聞投稿者に対して、その文章を引用しては口汚く罵倒している。極めてアンフェアである。このような書き方で「嫌煙運動はファシズム」などと訴えても「こいつこそ自分を誤解した社会的不適格者」と思われてしまい、嫌煙家に「喫煙者はいかに自己中心的で独善的であるか」という論拠を与えてしまうのではないだろうか。そして、その結果、本当に問題とするところの「個人が有する権利への一方的な価値観による規制=ファシズム」への警鐘というテーマが限りなく希薄に受け取られ、読者は喫煙権論争という表層にのみ囚われてしまうのではなかろうか。