変な本。著者は最近、地球温暖化論に対する懐疑論であちこち顔を見る人だが、社会学者。そして本書は、その人が社会学とはなんぞやを論じる本……だと思って読む進むと、途中からマルクス経済学の完全な受け売りによる変な資本主義論が始まって、そしてメディアにより人間の欲望がコントロールされている等々のボードリヤール話が展開され、温暖化問題も産業とメディアの結託による産業的要請からくる人心操作なのだ、という陰謀論につながる。
なんですの、これ? マル経的な資本主義理解だけが正しいわけじゃないでしょうに。冒頭では社会学がいかにフェアで価値を排除した分析をして云々と言いつつ、出てくる分析がここまで一方的なのは目が白黒。内容や主張は 2008 年に出た
「はだかの王様」の経済学ときわめて似ていて、たまたま同時期に読んだのでえらく既視感を感じた。温暖化議論の産業陰謀説だって、通常は温暖化に反対するほうが産業界の陰謀なのだというのが通説なんだけど、それについてもコメントなし。冒頭で言うようなきちんとしたフェアな検討がされているようには見えない。
そんなこんなで、強引で目配りを欠いた議論だらけの書物。副題は「社会学という非常識な世界」だけれど、非常識なのはこの本だけで、社会学ではないと思う。