料理の描写は確かに良いのかもしれない。
ただ、だが本当にそれだけの小説である。
事件のほうはあまりに素っ気なく単純でつまらない。
グルメミステリーというわりには、事件そのものと料理がほとんど融合していないのも難点。
お粗末極まりない事件の話を、どうにか料理の描写でごまかしてみました、そういうふうにしか読めないのだ。
巻末の選評を読んでも、料理の描写だけはやたらに誉められているが、ミステリーとしてはまったく評価されていない。
これは一体なんなのだろうか?
このミステリーがすごい!を名乗り、それで売り出すからにはあくまで上質なミステリーであることに軸をおいて評価されるべきだろう。
料理の描写がすばらしいから大賞にしましたでは羊頭狗肉もいいところ。
今回のような選考基準で受賞させるのならば、このミステリーがすごい大賞の選考基準や存在意義にすら関わってくると思う。
なんでもありなら、いっそこのミスなんてやめてこのエンタメ小説がすごいという名前にでも変えたほうがよろしかろう。