主人公とヒロインのキャラに非常に魅力がある。
金庸作品で読んだのは文庫化されたものだけだけど、今までの主人公は真面目でカタブツだったり純朴だったり、
わりと正統派な主人公で個人的にはあまり面白みがなかった(金蛇郎君などアクの強いのが大好きなので)。
でも本作の主人公・楊過は売国奴の子として生まれ、自分を見下し認めない世間の人々や武林の掟や制度に根深い恨みを抱き、
反骨し、傷つくのも厭わず昂然と牙を剥き、自分の意思を貫く。頭もいい。非常にエネルギッシュなヤツだ。
ヒロイン・小龍女も幼少から一歩も墓から出ることなく育ち、ある理由で感情を表すこともできないため、
徹底して冷徹で浮世離れした、これまた他人の目や世間の常識などどこ吹く風で自分の意を貫く美女だ。しかも絶技を使う。
そんなふたりが出会い、武林中を敵に回して愛し合うようになるのだ。そりゃワクワクする。精神的に成長していくふたりも見所だ。
脇のキャラもいつもどおり魅力的。小龍女の師姉である、世の男全てを憎み、圧倒的に強くワガママな「赤錬仙子」李莫愁がイイ。
前作の東邪・西毒などもイイ感じで出てくる。
女の子はやたら恥ずかしがり屋だけど、それはまあいつものことなので。
あと今回は邦訳が良く、子供向けのような噛み砕きすぎた文章ではないのもかなり高評価。
とにかく読んで損はない!