体系的な入門書。今日における神道研究の成果を一望できる。よくもまあここまで網羅的な情報を、てきぱきとまとめたものだなあと感心する。
「神社」という空間・建築の話から始まって、国家を軸とした制度論、組織・教団の流れをおさえ、理論家や教祖の個性あるいは教義や儀礼の意味の解説をしていく。これら「見える神道」から今度はふつうの人々のあまり自覚的ではない「見えない神道」の方に視点をかえて、神棚を中心とする家内の行事やお祭り、陰陽道とも結びつきの強い俗信(日柄方位など)に話題が移る。そして最後に、「神道」をこれまで伝えてきた伝統的な「回路」がところどころでぶち切れている現代社会で、それでもどのようなメディアが「神道」を伝達しあるいは再創造しているのかを検討していく。
この驚くほど見事な「神道入門(「学」入門の方が適切か)」が成立しているのは、基本的にこの宗教を「情報」というフラットな観点から捉えているからだろうと思う。変な信心や偏った姿勢がないから、多大な専門的知識もすごく平明でわかりやすくなるのだ。ただ、ちょっとクールすぎるかもしれない。もっと熱い議論を求める人は鎌田東二氏の新書(PHP)、また学問的なのよりも実用的な入門をしたい方には武光誠氏のそれ(河出書房新社)を推薦します。