本文にも書かれているが、「古くて新しい」神道の考え方が、一貫して書かれている。しかし、この本は神道を宗教的側面からのみ捉えているのでは決してない。
日本人の精神性、行動様式、日常生活のあらゆる面において、神道がその大もとにあるということを気づかせてくれる。お陰様の精神、きれい好き、相手をもてなす心配り、自己犠牲の精神など、どれもが神道の考え方によるものだという。
また、現代社会が抱える大きな問題についても、神道の考え方が非常に有効であると説いている。鎮守の森の再生こそが、深刻さを極める地球環境問題解決の方策だという。また、東日本大震災や、忌まわしい事件、事故などの災禍に対しては、起こってしまった災いを祓い、リセットすることで再生が図られるという「祓へ」(お祓い)が必要だというのは、時宜を得た指摘だ。
日本人の諦めない心、強さの源泉はその「魂観」、武士道精神にあるというのも、低迷、消沈といった形容がされる現代日本において、勇気と希望を見いだせる。
ここ数年のパワースポットブームに沸いた伊勢、熊野、出雲といった「聖地」についても、表層的なものから一歩も二歩も、いや、十歩、百歩と踏み込んでの記述は非常に読み応えがあった。伊勢、熊野、出雲の神職たちが語る含蓄のあるひと言ひと言に、大きく頷いてしまう。
そして、これまでうかがい知ることのなかった宮中祭祀について書かれているのも見逃せない。これは知らなかったものを知るという知的好奇心というレベルではない。国の平和と国民の幸せを祈り、自然に感謝を捧げる天皇の姿から、日本人であることを強く実感させられる。
このように、この本は本来の日本人の姿を描き出している日本人論と言える。そしてまた、日本人がいま一度、元気を取り戻すための示唆が満載された啓発の書とも言える。