西尾維新、富野由悠季、J・J・エイブラムズ、ZUN、柳田國男、村上春樹、レイモンド・チャンドラー、ルイス・キャロル……。
古典から東アジア圏のライトノベル、ケータイ小説までを、さらにはネットワーク論から構造主義までを自在に横断する新世代の文化理論!
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最も参考になったカスタマーレビュー
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
魅力的だがかなり生硬,
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レビュー対象商品: 神話が考える ネットワーク社会の文化論 (単行本)
この著者の新著がないかと検索していたところ、一年半前に出たこの本に、まだレビューが存在していないことを知って驚いたので、再読して書いてみます。提示されている目次はたいそう魅力的なサブカルチャー論を暗示しています。しかし、どの項目についても、何を言っているのかが散乱する印象があります。 ひとつの言葉についてじっくり定義をしたり、例に踏み込みながら議論を進めてゆくよりは、何かを述べたあと、すぐに観念的なレベルでの(構造主義を含むさまざまな)学術用語を用いた天下り的言い換え文へとスライドし、またそれをきちんと受けたりすることなく、別の角度から、あるいはちょっとずらしたところから段落を始めてゆきます。どうつながっているのかがわかりにくいし、気負いすぎているのか、早口に熟語、それも一般的ではない意味をになわされた熟語また用語を乱発し、言葉がきちんと軌道を噛むことなく、「すべって」いきます。 論旨が追えないことはないのですが、西尾維新にせよ、ガンダムにせよ、ケータイにせよ、現象や作品例を少しあげたと思うと、それを著者の学んできた大きな学術体系へとすぐ回収し、その中で話が動き、広がっていくので、もとのところにほとんど着地しません。けっきょく論の妥当性を言うために、作品や例を使っているのか、という感もあります(この論にあてはめられる! という感動がほとばしっているのはわかります)。 それと全体にどのページを開いても「」つき、傍点つきの言葉が多いです。特殊な意味で使う場合の「」もあれば、一般的な言葉を単に強調したいために「」となっていることもあります。そのへんももう少し、きちんと重心の落ちた論述がほしいと思います。 中身はあるのに、読みやすくない。惜しいです。 実際の文例をあげてみます。「神話の説話的信仰が、まったく同時に、メタ言語的な情報処理を実行し、知らず知らずのうちにテクストの離散化=量子化を行っているということ、ここから、神話の話者はいわば「二重言語」を操っていると言ってもいいだろう。むろんこうした離散化=量子化が成立するには、限られた素材が何度も繰り返しバージョンを変更しながら使われるような濃密な環境が前提となる。と同時に、その素材も「月」のように多様な組み合わせのパターンを含むものであることがのぞましい。パターンが枯渇すれば、神話のプログラムは停止してしまうからだ。ただ、何にせよ、諸要素を結合するパターンが蓄積されていくなかで、テクストのゆらぎが縮約されていくということが、ここでの最大のポイントである。先ほどの自己組織化と同様、死を下す権力から逸脱した柔軟な秩序形成を、ここにも見出すことができるだろう」139ページ しかし特に最初のほうの「今日のハイパーリアリティ」の節で、ボードリヤールを用いてまとめているところなどは魅力的です。ここだけで買う価値はあったと思います。著者が「思想地図」などで展開しているのはおもにこのあたりで、ここは身体的実感が伴っているのでしょうか、ひじょうにすっと入ってきます。ですので、このあたりをまとめた著作が読みたいと思って検索してみたのです。 いろいろ書きましたが、著者が才能ある新鋭研究者であることは明らかですので、今後の活動に大きく期待しています。
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