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神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)
 
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神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫) [文庫]

大西 巨人
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

一九四二年一月、対馬要塞の重砲兵聯隊に補充兵役入隊兵百余名が到着した。陸軍二等兵・東堂太郎もその中の一人。「世界は真剣に生きるに値しない」と思い定める虚無主義者である。厳寒の屯営内で、内務班長・大前田軍曹らによる過酷な“新兵教育”が始まる。そして、超人的な記憶力を駆使した東堂二等兵の壮大な闘いも開始された。―不滅の文学巨篇、登場。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大西 巨人
1919(大正8)年福岡市に生まれる。九大法学部中退。新聞社勤務を経て、召集により対馬要塞重砲兵聯隊に入隊。45年に復員後は福岡市で『文化展望』を編集。47年『近代文学』同人。52年上京して「新日本文学」常任中央委員となる。72年同会を退会。戦争・政治・差別問題を中心に執筆活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 578ページ
  • 出版社: 光文社 (2002/07)
  • ISBN-10: 4334733433
  • ISBN-13: 978-4334733438
  • 発売日: 2002/07
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
読もう読もうと思いつつそのボリュームなど様々な理由で躊躇している方。迷っている場合ではありません。傑作ですから今すぐ手に取ってください。驚くべき記憶力をもつ主人公が、軍隊内の不条理に合法的に、軍規を盾にとって闘争する3ヶ月。あっちこっちに飛んでいく記憶のままに、東西の古典文学から豊饒に引用し、重苦しくもあり、おかしくもある「ザ・小説」。召集以前の生活、特に恋愛関係も珠玉の出来栄えです。

こんな世界は生きるに値しないと思っているニヒリストの主人公が、そのつもりもなかったのに、不条理な支配関係や差別問題に抵抗していくなか、周囲の一般兵たちと奇妙な連帯意識が芽生え、生きる希望を見出していく、という中心的なストーリーだけでも気持ちいい。軍隊でこそ見出す逆説的な希望。

もちろん、作品舞台が対米開戦直後の1942年1月から4月であり、敗戦濃厚になって兵隊たち自身が威圧的で堅苦しい雰囲気を内面化する前だからこそ、軍隊内にまだわずかに民主的法律的な空気が残っていることになっています。主人公の合法的な訴えを聞き入れて戸惑う上官たちは、決して問答無用の鉄拳制裁をしない。

ト書き風、一人語り風、三人称、引用のみ、など節ごとに文体を自在に変化させているのもおもしろい。九州方言の語尾「ごたぁる」の心地よいリズムが耳を離れません。至福の読書体験をぜひ!
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
抵抗の原点 2005/2/14
形式:文庫
 読んだのは、28歳のころですかね。月給も安くて1冊500円は結構きつかったけど全巻買って、仕事の合間や通勤電車のなかで読みました。
 ストーリーは、太平洋戦争も末期の兵営が舞台。徴兵された新兵の主人公が、天皇の軍隊による人格の否定や人間的権利の剥奪に徹底して抵抗する様が描かれています。抵抗の武器は論理。全巻通して軍規や軍法をめぐり非常に精緻な論理の解釈や下士官や将校との論争が描かれています。これは見もの(読みもの?)です。天皇の名による軍規や軍法を逆手に取って兵の権利を論証し主張する。天皇をバックにしちゃうから上官も応ぜざるを得ない。こうして論争の場に引きずり出された軍隊は、決して一枚岩の組織ではなくレンガ積みの巨大な楼閣として正体をあらわにします。ここそこで展開されるレトリックには、ぞくぞくします。
 天皇の軍隊への二等兵の抵抗。ここに人間としての抵抗の原点を探ろうとした、著者の思いもまた知るべしです。
 付け加えて、兵営内のおかしな慣行や、そこで生きる兵隊たちの人物描写、心理描写もなかなか興味深いものです。
 著者の大西は、莫大なエネルギーをこの作品に注ぎ込み完成にいたりました。そのモチベーションも興味をそそられるところです。もちろん、天皇制と旧軍への批判もある。しかし、もうひとつ、著者がかつては立場をともにした日本共産党とその文芸活動への痛烈な一撃たらんとこの作品を上梓したと考えるのは私だけでしょうか。これだけのもの書けるものなら書いてみろ!てな意識も多分にあったと思います。
 読んだぞー!って叫びたくなるほどの満足感に星5つです。
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27 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ミケ
形式:文庫
他の人たちのレビューによって、おおよその概要はわかると思います。そのため、私は『神聖喜劇』を読み終えて考えた内容を少し書いてみることにします。
主人公東堂は自ら対馬連隊へと加わり、戦地において「死ぬこと」が彼の望みだったのです。しかし、連隊での経験や過去の記憶がその気持ちを揺るがしていきます。どんな社会でもよくあることですが、連隊の中でも上下関係が存在し、その中では制度や法をも無視し、権力をもっている人間こそが法なのである、といった形です。東堂はこの矛盾と戦っていき、やがて彼の心に変化をあたえるのです。
『神聖喜劇』は東堂の物語であり、私たちの物語ではありません。しかし、私たちが社会の矛盾に出会ったとき、どのような姿勢でそれにぶつかっていくかを考えさせられる一冊であったと思います。
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