何年も心待ちにしていた神聖モテモテ王国7巻が、新装版になって発売されていると知ったのはつい最近のこと。
一編収録されていないのは確かに残念だが、それでも十分価値はある。
それにしても、ながいけん氏のこのセンスはすごすぎる。こんなにも読者を選んでよいのか、というくらいの描きっぷりである。
この漫画は前人未到にして空前絶後であり、分かる人にしかわからない、分かるためにはかなりの広範囲な知識を要求する(ことわざ、世界史、ガンダム、漫画他いろいろ)。
また背景がわかるだけでは不十分で、読み方もマスターしなければならない。
ファーザーその他のおかしな言動に作中人物が本来ならばツッコミを入れるべきところに誰もツッコミを入れないので、読者が心のなかでツッコミを入れなければいけないのだ。
例えば、本巻収録のウィアー・ザ・ワイルドはジャングル黒べえ、ちびくろサンボと絶版問題、黒人差別に関するPC運動、ジョジョの奇妙な冒険、銀河鉄道999、マトリックス他について知らなければなんのことだかさっぱりわからない。
「黒部のフルネームは密林っぽいものだったが、もろもろの事情により明かせない」
「なお黒部はジャングルにいたため日焼けしている日系宇宙人です」
「奴は機械の体だけが目当てだったのね?」
などの、説明やセリフの裏側に広がる世界を楽しめる人だけが熱烈な読者になりうる。
最初に読んで面白くなくても、人によっては慣れるにしたがって読めるようなることもあるので(私も面白さがわかったのは2巻から)、ぜひ多くの人にこの摩訶不思議な言葉のマジックワールドの大傑作を読んで欲しい。