やはり特筆すべきは「漫画の神様」手塚治虫作品のパロディーだろう。絵柄を完璧にコピーして、一心不乱に下品さを追求する姿勢は、すがすがしいほど。たとえば、この作品。今にも息絶えようとする可憐な美女を抱き上げる男の頭には、彼女との思い出がフラッシュバックするが、思い出の中の彼女が話すことはといえば「男性器」のことのみ。これからその思い出だけを抱いて暮らすのはいやだとあせる男…。手塚作品で誰もが感じたひっそりとした「トラウマになるくらいエロい」(巻末の対談より)エロスを、ここまで見事に、単なるシモネタに作り変えることができるのはこの著者以外にいないだろう。
また絶対に見逃せないのが、カバー裏に収録されているカラー作品「神は天にいまし世はすべてこともないわきゃあない」。「三つ目がとおる」の「和登さん」や、ロック、ブラック・ジャック、サファイア、メルモ、そして「先生」本人までが登場して、ぞくぞくするほどばかばかしいやりとりを繰り広げている。手塚作品のパロディーではないが、形状も性質もそのものずばりのキャラクターが登場する「局部くん」シリーズも傑作。(門倉紫麻)
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とにかく絵や作風の似せ方に対するこだわりには驚くなあ。8割以上をしめる手塚治虫パロディは特筆に値します。コマのアングルから、セリフから、オノマトペから、これだけ徹底したパロディ作品は、神をも恐れぬ豪快さんな開き直りは・・・前代未聞。特に女体の描き方に対する徹底したパロディぶりは尋常じゃない。
巻末でのしりあがり寿との対談でも著者が述べている通り、「手塚治虫の描く女性は永井豪のそれなんかよりよっぽどエロい」のだといい、「手塚治虫はマンガ界!でもっともダッチワイフを多く描いた作家だ」と豪語する著者の並々ならぬ執念を、その完全に手塚してる女体から感じてしまう。徹底したパロディを通して、神が降りてくる瞬間を捉えたこの作品集には、ちょっと他では味わえない魅力があるぞ。
ビートルズのパロディバンドでラトルズってのがあるの、ご存知でしょうか。ギターの音色からドラムの叩き方、そして完全ビートルズしてる「オリジナル」の楽曲まで全てが徹底してるラトルズを、ビートルマニアはこよなく愛するわけですけれど、それと同型のパロディ魂=対象への愛情を、この作品には感じてしまいますね。
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