この映画では電話が大きな役割を果たしています。制作されたのが88年ですので携帯電話がまだ一般に普及する前の話です。固定電話ではお互いをつかまえられないことから生まれるすれ違いがおかしな物語を紡いでいきます。そういえばこんな時代もあったなぁと懐かしい思いがします。
登場人物はひとクセもふたクセもある人ばかり。おいおい、こらこら、と思わせるストーリー展開はベタベタ(コテコテ?)でストレート。(笑い)
こんなプレイボーイの初老の男に女たちが分別をなくして魅了されてしまうなんてと思わないでもないけど、恋は何とかというしね。でも「神経衰弱ぎりぎり」というよりこれは「完全に神経衰弱」ですよ。
最近は<鬼才>という枕詞がつくことが多いアルモドーバルだけど、この作品は肩に力を入れずにきら~くに楽しく見られます。
邦題のつけかたもなかなかよろしいのでは?原題どおりなんですけど、「オープン・ユア・アイズ」とか「オール・アバウト・マイ・マザー」みたいにスペイン語の原題を英語に置き換えただけという芸のないタイトルづけをしていない点は好感が持てますもの。神経衰弱なんて言葉、いまの若い人はトランプ・ゲームの名前だと思っているかも。それでもノイローゼなんてドイツ語使わないであえて漢語で訳したセンスは高く買います。
スペイン語を勉強している人にはとてもよいヒヤリング教材になると思います。なにしろ1時間半の全編をとおして機関銃のようなスペイン語がたっぷりと連射されます。しかも録音状態は申し分なく良いですよ。