さそうあきらは自由な人間を描くのが上手な作家です。
本当に自由な二人とその周りに集った自由な人々の物語が本書「神童」です。
二人, 和音 と うた の関わりは全て音を通じてのものです。
才能の多寡に関係なく,二人は音を求めます。
和音 は自分の音楽的凡庸さに立ち向かいながら成長を続けます。
そして うた に聞かせたい音を得て,新たな世界へと向かいます。
うた は音楽の化身で,座敷童です。
そして同時に,思春期へと向かう中にいる女子です。
芸術の神に愛されるものは平穏に暮らすことは出来ません。
二人は才能と人としての成長を交換するかのように関わり合います。
そして,お互いに最も必要とするときに,最も必要なものを与え合います。
押し付けがましくなく,媚びることなく。
そして,天辺の高揚と絶望の淵を見た うた のうたが最後に読者に届けられます。
独自の躍動と静止を示す絵柄にも好感を持ちました。とても素敵な漫画ですね。