神様という短編だけ入った本。
前半に以前収録されたままの神様、
後半にあのことがあった後の神様2011。
「神様」、大好きな物語だった。くまと散歩に出るという突飛な設定
なのに平和でほのぼのとしてて、温かく
でも生きていくことの大変さや悲しみもあって。
この作品から急激に川上弘美さんが好きになり、以前に
出ていた作品、以後の作品すべて買いそろえている。
絶対にはずれのない作家としてすごく信頼している。
神様2011を読んで、一見平和な日常が切り取られているのに
防護服や、ガイガーカウンター、今日の線量など、リアルな
言葉が少しだけちりばめられていて、悲しかった。
悲しいけど、あのことをなしにすることは出来なくて、
あのことと折り合いながら生きていかなくてはいけない。
日常はずっと続くと思っている人間の甘さを
震災はすべて打ち砕いて流していってしまった。
それがすごくリアルに書かれている。
才能のある人はその人なりの、ない人だってその人なりの
震災のとらえ方、自分が今出来ることを行うという姿勢は
変わらないのだけれど、川上弘美さんは才能のある人として
あのことを絶対に人々に忘れさせない手段を選んで実行したのだと思う。
平和な日常があのことという震災によって
180度変わってしまった。ほとんどの人が放射性物質や放射能の
ことについて専門用語まで知ってしまった。後戻りはできないし
なかったことにもできない。あのことを忘れないで日常を
続けていくしかないのである。