小学四年生の芳雄のクラスに転校してきた鈴木太郎は、自らを神だと
称し、最近市内を騒がせている、連続ネコ殺しの犯人の名前を告げる。
そして、数日後には、密室状態の場所で変死していた
クラスメイトを殺した犯人のことも知っていると言い……。
とりあえず密室殺人に関しては、きちんと論理的手続きを踏んだ解明がなされます。
そこで導き出される結論も、芳雄にとっては十分つらく苦いものなのですが、結末で
作者が芳雄と読者に突きつける真実は、より酷薄で、救いがないものとなっています。
ロジカルな解明の後に、超自然的要素が立ち現れる、という点では、
カーの
『火刑法廷』を彷彿とさせますが、論理と怪異が釣り合っていた
『火刑法廷』に対し、本作はそのバランスが崩れ、矛盾や齟齬が露呈
してしまっています。
ただ、作者からすれば、作品の整合性をあえて犠牲にすることで、
「すべては、すでに決まっている」という、圧倒的な不条理を表現
したかったのでしょう。
論理的な推理を積み重ね、答えを導き出しても、それが即真実であるとは限らない。
そして、たとえ真実がわかったとしても、自らを傷つける結果にしか繋がらない――。
そうした、おそろしく空虚で、絶望的なテーマを、淡々とした
筆致で描き切っているところは作者の面目躍如といえます。