アーロン・プライアーと亀田昭雄。ボクシングに詳しいオールドファンは両者の実力を知っているだけに、たまらない内容になるであろう。一見するとワンサイドに見える試合も、両者のインタビューを踏まえながらもう一度試合を観ると、濃密な試合だった事を確認できる。
また、この一戦だけではなく、著者は両者の人生も追いかけている。努力に努力を重ねたプライアー、練習せずとも勝てる・・・と言い放ち、ほとんど練習をしない亀田。
アルゲリョとのビックマッチを控え、絶対に落とせない試合として臨んだプライアーと、トラブル続きで準備ができなかった亀田。
亀田が万全の準備で挑んでいたら・・・と思わずにいられない。
才能、努力、成功、慢心、周囲の裏切り、ドン底、人生を取り戻す戦い・・・、と、この本は生きていく事が容易ではないこと、またそれを乗り越えていく人間の強さを教えてくれる。著者の前作『マイノリティーの拳』と合わせて、ボクシングノンフィクションの傑作である。
過去の試合がオンラインで観れる時代なので、オールドファンだけでなく、若いファンにも是非読んでもらいたい。